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小型人工衛星打ち上げロケットの推進剤タンクを実機サイズで試作:宇宙開発
インターステラテクノロジズは、小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」のタンクを対象に、実際の使用環境条件に合わせた実機サイズの推進剤タンクを試作した。ZEROは、2023年度の打ち上げを目標としている。
インターステラテクノロジズは2021年5月17日、小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」を想定した、実機サイズの推進剤タンクを試作したと発表した。
ZEROは、同社が開発を進める2段式の小型人工衛星打ち上げロケットだ。同社は、ZEROの2段目のタンクを対象とし、実際の使用環境条件に合わせて今回の試作を実施した。タンクはアルミ製で、直径1700mm、高さ850mmと実機サイズになっている。
ZEROの推進剤タンクは、同社が併せて開発を進める観測ロケット「MOMO」と比較して直径が3.4倍となる。そのため、MOMOでは生じなかったタンク製造時の課題も、試作によって明らかになったという。
同社は、今後さらに実験や試作を進め、推進剤タンクの設計改良や量産製造技術の開発など、2023年度の打ち上げに向けてZEROの実機開発に取り組んでいく。
なお、同社は2015年より、経済産業省の「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業」の受託先となっており、同事業の一環として今回の開発を実施している。これまでも観測ロケットや超小型人工衛星打ち上げロケットの燃料噴射装置や燃焼器、ターボポンプ、ロケット構造に関する研究開発を実施した。
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