サブストレートの検査も可能に、ヤマハ発動機の3D光学外観検査装置:FAニュース
ヤマハ発動機は2021年5月19日、高速性能と高精度を両立させた、ハイエンドクラスの3Dハイブリッド光学外観検査装置「YRi-V」を2021年7月1日に発売すると発表した。
ヤマハ発動機は2021年5月19日、高速性能と高精度を両立させた、ハイエンドクラスの3Dハイブリッド光学外観検査装置「YRi-V」を同年7月1日に発売すると発表した。電子部品実装工場向けだが、極小部品への対応を強化したことにより、従来のプリント基板実装の検査だけではなく、サブストレートへの対応も可能としたことが特徴である。
新製品「YRi-V」は、2次元検査、3次元検査、4方向アングル画像検査を1台に搭載した従来機の上位モデルとして開発。
新開発の検査ヘッドには、従来の分解能12μm、7μmのレンズに加え、新たに0201サイズ極小チップ部品に対応する5μm分解能のレンズを追加している。また、照明を一新して輝度を上げ、フレームレートを高めた業界最速の高速・高解像度のカメラや、高性能GPUを採用したことで、従来機(YSi-V TypeHS2)比で7μm時で約2倍、12μm時で約1.6倍高速化を実現した。加えて、3Dプロジェクタの刷新により、計測精度と計測レンジがともに従来機比で2倍に向上し、最大で高さ25mmまでの高精度計測を可能とした。5μmレンズと8方向の3Dプロジェクタを組み合わせることで、0201サイズの極小チップ部品や狭隣接部品に対して、部品の死角に影響されない高精度な3D検査が行える。
さらに、鏡面部品など難検査部品への対応を強化したこともポイントである。検査ヘッドに同軸照明を新たに導入し、鏡面部品の傷、割れ、欠けの検出力を高めた。コンベヤーも刷新し、対応基板幅を拡張。L1200mm(オプション)の長尺基板にも対応可能としている。デュアルレーンでは2、3、4レールの固定位置自由化により、他設備との連結汎用性なども高めている。また、各機能の自動化やAI(人工知能)の採用などにより、検査データ作成やデータチューニングをスキルレスで行うサポート機能も充実させている。
ヤマハ発動機 ロボティクス事業部 SMT統括部 国内営業部 主査の鳥井直哉氏は「新製品は電子部品実装を行う幅広い業界への提案を進めていくが、特に従来はカバーが難しかった極小領域への対応力を強化したため、サブストレートのような新たな領域での活用を提案していく」と語っている。
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