医療AIサービスの普及と発展を目指し、技術研究組合を設立:医療機器ニュース
日立製作所、日本ユニシス、日本IBM、ソフトバンク、三井物産は、技術研究組合法に基づき、厚生労働大臣および経済産業大臣の認可による「医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)」を設立した。
日立製作所は2021年4月1日、日本ユニシス、日本IBM、ソフトバンク、三井物産と共同で、厚生労働大臣および経済産業大臣の認可による「医療AIプラットフォーム技術研究組合(Healthcare AI Platform Collaborative Innovation Partnership:HAIP)を設立したと発表した。
技術研究組合とは、企業や大学、独立法人などが協同して試験研究を実施するために、技術研究組合法に基づき、主務大臣の認可によって設立される非営利共益法人のこと。HAIPは、医療AI(人工知能)サービスの普及と発展のため、業界共通の基盤技術について研究開発を行う。
オープン領域として研究開発成果を発表することで、医療AIサービスの普及と発展に貢献し、医療の質の確保や医療関係者の負担軽減を目指す。将来的には、技術研究組合から株式会社に組織変更し、研究成果の事業化や社会実装を進めていく。
具体的には、医療AIサービスを一元的に提供するポータルサイト機能を持つシステム(ポータルシステム)を開発する。また、このポータルシステムを利用する上でのセキュリティ領域、ポータルシステムと医療AIサービスを接続するためのAPIの研究開発にも取り組む。
さらに、医療関係者などがこれらを共通基盤として円滑に利用できるよう、5G(第5世代移動通信システム)を活用した医療AIサービスの実用化に即した機能などを整理するための研究開発、物理的なデータ拡散を防止する技術の研究開発を進める。
医療分野のAIは、国内外でさまざまな実例があるが、業界共通の基盤技術への取り組みについては課題が多い。そのため5社は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」課題にて、2020年度から医療AIプラットフォームの社会実装に向けた検討を進めている。
HAIPによる業界共通の基盤技術の開発により、医療機関や民間の健診センター、保険会社なども安心かつ容易に医療AIサービスを利活用できる環境構築が期待される。
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