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神経伝達物質を単一分子レベルで高速検出、識別できる手法を開発医療技術ニュース

大阪大学と科学技術振興機構は、量子計測とAI解析を組み合わせることで、脳内の神経伝達物質を単一分子レベルで検出、識別する手法を開発した。神経伝達物質の計測が可能になったことで、神経疾患の詳細な理解につながることが期待される。

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 大阪大学は2020年7月9日、量子計測とAI(人工知能)による解析を組み合わせることで、神経伝達物質を単一分子レベルで検出、識別する手法を世界で初めて開発したと発表した。科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CRESTの研究の一環として実施された。

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単分子神経伝達物質検出の概念図(クリックで拡大) 出典:科学技術振興機構

 研究グループは、ナノテクノロジー技術により形成した1nmの検出部位、10ミリ秒の時間分解能を持つ単分子計測を用いて、代表的な神経伝達物質であるドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンの3種の単分子電流波形を検出した。続いて、これら3種の単分子波形を分類器に学習させることで、3種の神経伝達物質を識別することに成功した。

 さらに、弱教師あり学習の1種で、ノイズ除去に適した機械学習手法「PUC(Positive and Unlabeled Classification)」を用いて、マウス脳内の神経伝達物質も計測した。

 神経活動や疾患に関与する神経伝達物質の理解のためには、同物質を詳細に計測する必要がある。しかし、これまで、複数の神経伝達物質を選択的かつ高速、高空間分解能で計測することは難しかった。

 今回の研究成果により、脳内の神経伝達物質を経時的、選択的に計測できるようになり、さらに研究が進めば、シナプス間の神経伝達物質を直接計測可能になる。今後、神経疾患の詳細な理解や治療法の開発につながることが期待される。

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