ニュース
ひずみ感度200倍のフレキシブルセンサーを開発:医療技術ニュース
大阪大学は、ゲージ率400以上のフレキシブルひずみセンサーを開発した。産業で用いられているセンサーの約200倍のひずみ感度を達成し、従来測定が困難だったマイクロひずみを検出可能になる。
大阪大学は2019年12月18日、ゲージ率400以上のフレキシブルひずみセンサーを開発したと発表した。現在、産業で用いられているセンサーの約200倍となるひずみ感度のため、従来測定が困難だったマイクロひずみを検出可能になる。同大学産業科学研究所 准教授の神吉輝夫氏らと、ジェノバ大学、イタリア学術会議の共同研究による成果だ。
研究グループは、わずかなひずみで大きく抵抗が変化する、二酸化バナジウムというセラミック材料に着目。二酸化バナジウム薄膜の単結晶化に成功した。また、基板からの剥離技術、フレキシブルシート上への転写技術を確立し、これら3つの技術でセンサーの高感度化を達成した。
産業で使用されるフレキシブルセンサーの多くは、ゲージ率2のニッケル合金製だ。今回開発したセンサーは、信号増幅なしに微小ひずみを検知するため、回路の小型化や省エネ化が可能になる。そのため、従来の装置では難しいマイクロひずみ(1mの棒が0.000001mの伸縮)を検出でき、脳波やわずかな筋肉の動き、建造物の微小経時変化を簡便な装置で高精度に測定可能になることが期待できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 精子が持つ電気信号感知システムを解明
大阪大学は、マウスを用い、精子が独自の電気を感じる特殊な仕組みを備え、このシステムが精子の運動機能に重要なことを解明した。将来的には、不妊治療への応用も期待される。 - 正常な骨には存在しない、関節炎で骨を破壊する悪玉破骨細胞を発見
大阪大学は、破骨細胞には、正常な破骨細胞と性質・起源が異なる悪玉破骨細胞が存在することを発見した。炎症関節の細胞を採取・解析する技術を開発し、関節炎で病的に骨を破壊する悪玉破骨細胞を同定した。 - 明るい場所と暗い場所、環境の変化に目が慣れる分子メカニズムを解明
大阪大学は、明るい場所でも暗い場所でも、環境の変化に応じて適切に物体を見る機能(明暗順応)の分子メカニズムを明らかにした。今後、加齢黄斑変性や網膜色素変性症などの網膜変性疾患の治療薬の開発が期待される。 - 多剤耐性化を引き起こす薬剤排出ポンプの進化を解明
大阪大学は、細菌の多剤耐性化に関与するRND型薬剤排出ポンプを解析し、インフルエンザ菌のRND型薬剤排出ポンプによって、多剤耐性化が引き起こされる潜在的リスクを解明した。 - 世界初、iPS細胞を用いた角膜移植に成功
大阪大学は、ヒトiPS細胞由来の角膜上皮細胞シートを重度の角膜上皮幹細胞疲弊症患者1人に移植したと発表した。iPS細胞を用いた角膜再生の臨床研究は世界初となる。