アルプスアルパインが仙台駅前に車載ソフト開発拠点、WeWorkを活用:車載ソフトウェア
アルプスアルパインがJR仙台駅直結のオフィスビル内に新たに「仙台ソフトウェア開発センター」を開所したと発表。車載用組み込みソフトウェアの開発を集中して行い、ECU統合によるソフトウェア開発の複雑化、大規模化への対応を強化する。
アルプスアルパインは2021年4月6日、JR仙台駅直結のオフィスビル内に新たに「仙台ソフトウェア開発センター」を開所したと発表した。同センターでは車載用組み込みソフトウェアの開発を集中して行い、ECU(電子制御ユニット)統合によるソフトウェア開発の複雑化、大規模化への対応を強化する。また、シェアオフィス大手であるWeWorkのサービスを活用して、ターミナル駅直結のアクセスのよさと整備された快適な業務環境を用意し、働きやすさの向上も狙う。
仙台ソフトウェア開発センターは、2021年2月に開業したJR仙台駅東口に直結する仙台イーストゲートビル(仙台市宮城野区)の3階に入居する。アルプスアルパインの古川開発センター(宮城県大崎市)といわき事業所(福島県いわき市)に勤務していた人員の一部が同センターに異動しており、同年4月1日から業務を開始している。今後は、国内ソフトウェア開発人財の一部を結集して車載用組み込みソフトウェアの開発を集中して行うとともに、新たな人財を積極採用してソフトウェア開発の内製化を進める方針だ。
アルプスアルパインは、古川開発センター、いわき事業所、東京本社(東京都大田区)、子会社のシーズ・ラボ(札幌市中央区)にも国内ソフトウェア開発拠点を展開している。仙台ソフトウェア開発センターはこれら4拠点とのアクセスも良好で、ソフトウェア開発部門間での密な連携が可能だとしている。また、米国、ドイツ、スウェーデン、中国、韓国など海外のソフトウェア開発拠点との連携も強化していく。
CASE(コネクテッド、自動運転、サービス/シェアリング、電動化)の技術開発が進み、そられのシステムに用いられる車載ソフトウェアの開発もより複雑さを増し、大規模化している。アルプスアルパインは、これら次世代自動車向けの新製品開発に追従するため、従来の開発体制を刷新し、開発管理や顧客対応業務を兼務しているソフトウェア開発人財をソフトウェア開発そのものに集中できるよう環境整備するとともに、採用を強化してソフトウェア開発の内製化を進め、開発スピードと品質を向上させる取り組みを進めてきた。また、新たなソフトウェア開発に求められるアジャイル開発やモデルベース開発の導入と展開にも取り組んできたという。
仙台ソフトウェア開発センターの開所は、これらの取り組みの一環となる。同センターでは、新規製品群にもモデルベース開発を導入することで開発スピードと品質の向上を図り、加えて他拠点へモデルベース開発手法の浸透を推進していくとしている。
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