組織内の誰もが意見を言える「心理的安全性」は、離職や職場満足度に影響:キャリアニュース
Fringe81 Uniposカンパニーが、「仕事と心理的安全性」に関する調査結果を発表した。組織のメンバーの誰もが意見を言えて、問題提起できる「心理的安全性」は、離職意向や職場満足度に影響していることが分かった。
コラボレーション改善クラウド「Unipos」を運営するFringe81 Uniposカンパニーは2021年3月4日、「仕事と心理的安全性」に関する調査結果を発表した。
同調査の対象者は、上場企業に勤務する20〜59歳の男女377人(男性193人、女性184人)。慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科の石井遼介氏の監修の元、心理的安全性を構成する「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎(新しい視点や個性を歓迎すること)」の4つの因子に関する設問を作成し、回答結果から「心理的安全性スコア」を算出した。なお、心理的安全性とは「組織、チームの誰もが、地位や経験に関わらず、率直に意見を言い、また素朴な疑問を呈せること」で、組織やチームのカルチャーを表す。
まず、「この職場で働き続けたいと思っていますか」と尋ねたところ、「当てはまる」が29.4%、「どちらかと言うと当てはまる」が44.3%となり、継続意向の合計が73.7%となった。「どちらかと言うと当てはまらない」は18.8%、「当てはまらない」は7.4%と、離職意向は26.2%となっており、約4人に1人が「離職意向がある」ことが分かった。
「この職場で働き続けたいと思っていますか」という問いに対し、回答群ごとに心理的安全性スコア(PSJ値)を確認した。その結果、「当てはまる」「どちらかと言うと当てはまる」と回答した群のPSJ値(平均値)は4.22ptだった。「どちらかと言うと当てはまらない」「当てはまらない」と回答した群は、PSJ値(同)が3.38ptと0.84pt低く、離職意向の高い傾向にある人は心理的安全性が低いことが分かった。
離職意向の低減や職場の満足度につながる「助け合い」因子
「この職場で働き続けたいと思っていますか」に対する回答を、心理的安全性の4因子で見てみると、「助け合い」因子で最も違いが表れた。「当てはまらない(この職場で働き続けたくない)」の回答群は、「当てはまる(働き続けたい)」より「助け合い」のPSJ値が1.5pt低かった。このことから、離職意向を減らすことと「助け合いのしやすい組織づくり」はつながっていると言えそうだ。
次に、「今の職場で働くことに満足していますか」という質問に対する回答群ごとのPSJ値を確認したところ、「当てはまる」「どちらかと言うと当てはまる」のPSJ値(平均値)は4.19ptだった。「どちらかと言うと当てはまらない」「当てはまらない」のPSJ値(同)は3.68ptとなっており、「当てはまる(満足している)」群と比べて0.51pt低くなっている。
「今の職場で働くことに満足していますか」に対する回答を、心理的安全性の4因子で見てみると、この設問でも「助け合い」因子で最も違いが表れた。「当てはまらない(今の職場に満足していない)」の方が、「当てはまる(満足している)」より「助け合い」のPSJ値が1.34pt低くなっている。「助け合いのしやすい組織づくり」は、職場の満足度とも関連があるようだ。
続いて、「職場内でもっとこうした方が仕事がうまくいくと思った時、提案をしたいと思いますか」という質問に対する回答群ごとのPSJ値を確認した。その結果、「したいと思う」「どちらかと言うとしたいと思う」のPSJ値は4.08ptだった。「どちらかと言うとしたいと思わない」「したいと思わない」のPSJ値は3.81ptとなり、提案したい群はそうではない群と比べてPSJ値が0.27pt高い。このことから、職場での改善提案の意向が高い人は、心理的安全性がやや高いことが分かる。
「職場内でもっとこうした方が仕事がうまくいくと思った時、提案をしたいと思いますか」に対する回答を心理的安全性の4因子で見ると、「挑戦」因子で最も違いが表れた。「(改善提案を)どちらかと言うとしたいと思わない」と回答した群の方が、「したいと思う」と回答した群より「挑戦」因子のPSJ値が0.44pt低いことから、職場の改善提案率向上には「挑戦のしやすい組織づくり」が有効と言えそうだ。
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