シミュレーション技術により、高性能F1カーの迅速な開発を支援:CAEニュース
Ansysは、Red Bull Racingが同社のシミュレーションソリューションと材料データ管理システムを用いて、F1用レースカーの開発を進めていると発表した。エンジニアによる高性能なレースカー設計と開発期間の短縮を支援する。
Ansysは2021年2月16日、Red Bull Racingが同社のシミュレーションソリューションと材料データ管理システムを用い、2021年のF1シーズンに向けてレースカーの開発を進めていることを発表した。
Red Bull Racingのエンジニアリングチームは、各レース間の限られた開発期間内でレースカーの空力を進化させ、ラップタイムを短縮させる必要がある。両社の協力関係は13年間続いており、Ansysはエンジニアによる迅速かつ高性能なレースカー設計を支援している。
レースカー開発にCFDシミュレーションや材料DBを活用
各地のレーストラックに応じた空力パッケージの設計には、Ansysの数値流体力学(CFD)ソリューション「Ansys Fluent」を活用。仮想空間での車体外部の空力シミュレーションが可能になり、ホンダ製パワーユニットの最適な性能を引き出すシャシーの冷却回路を開発できる。
また、材料データ管理システム「Ansys Granta MI」により、迅速に材料を選択してエラーを削減できる。衝撃解析用ツール「Ansys LS-DYNA」では、カークラッシュ時のシミュレーション結果と実際の衝突試験結果の関係を把握して、車の構造を決定できる。
これらのシミュレーション技術を活用することで、レーストラックでの性能を最大限引き出せるような設計が可能になる。さらに、エンジニアリングコストの削減と開発期間の大幅な短縮にも貢献する。
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