ドアに取り付ける宅配ボックス、後付け簡単設置で置き配ニーズに応える:デザインの力
LIXILは、簡単に後付けできるコンパクトな宅配ボックス「ATMO(アトモ)」を発表し、クラウドファンディングサイト「Makuake」でのプロジェクトをスタートさせた。Yperが展開する置き配バッグ「OKIPPA」と組み合わせて利用する。Makuakeでのテストマーケティングの後、正式販売を予定している。
LIXILは2021年2月16日、簡単に後付けできるコンパクトな宅配ボックス「ATMO(アトモ)」に関する記者説明会をオンラインで開催した。
ATMOは、開き戸タイプの玄関ドアを後付けで自動ドアに変えられる電動オープナーシステム「DOAC」、飼い猫の性格や成長に合わせて自由にレイアウト変更できるマグネット脱着式キャットウォール「猫壁」に続く、LIXIL Housing Technology Japan ビジネスインキュベーションセンターによる第3弾製品となる。
同社は、再配達をなくす置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」を提供するYperとの協業の下、2020年4月からATMOの開発に着手。約10カ月間で製品化を実現し、オンライン説明会同日、クラウドファンディングサイト「Makuake」を介して先行販売/テストマーケティングをスタートした。なお、正式販売はMakuakeによるテストマーケティング後を予定する。
置き配の課題を解決する“中間の製品”を狙った「ATMO」
ATMOは、近年急増する不在時における置き配や、在宅時の非対面での受け取りニーズに応えるもので、後付けで玄関ドアなどに簡単に設置できるのが特長だ。配達員は、ケース状のATMOからワイヤーロープで固定された置き配バッグ(OKIPPA)を引き出し、その中に配達物を入れてチャックを閉めて南京錠で施錠する。
OKIPPAは撥水加工が施されており、雨天での利用も問題ないという。また、折り目加工が付いているため、荷物の受け取り後はきれいに折りたたむことができ、ATMOのケース内に簡単に収納することが可能だ。なお、OKIPPAのサイズは約70×66cm(容量57リットル)で、折りたたむと13×13cm(厚さ5cm)になる。
ATMOの開発経緯について、LIXIL Housing Technology Japan ビジネスインキュベーションセンターの伊東純平氏は、置き配に対するニーズや現状課題を踏まえつつ、「従来の宅配ボックスは設置スペースが必要で、費用が高く、施工を伴うものがあり導入のハードルが高い。また、置き配用の収納ボックスを玄関先に直置きするケースだと防犯面での課題もあった。デザインに関しても住宅の外観や玄関空間に合わない製品が多いため、それぞれの課題を解決できる中間の製品が必要だと考えた」と語る。
「ATMO」の製品化における3つのコンセプト
ATMOの製品化に向けては、(1)玄関ドアになじむデザイン、(2)簡単に後付け可能、(3)設置スペースが最小限の3つのコンセプトを掲げて開発に取り組んだ。
デザインに関しては「ドアや玄関デザインになじみながら、配達員が気が付く“さり気なさ”、そして使い勝手のバランスを重視した」(伊東氏)という。取り付けに関しては、両面テープでの固定を基本としつつ、取り付け環境に合わせて、マグネットシート固定、ビス穴固定、結束バンド固定からも選択可能だ。また、ATMO本体が薄型のケース状で、中から置き配バッグ(OKIPPA)を取り出して利用する仕様になっているため、設置スペースも最小限で済む。
ATMOの本体サイズは142×295×64.5mmで、重さが約750g(OKIPPA含む)。材料はASA樹脂で、色はディープグレー。フタ部は任意の位置で保持可能で、内部には印鑑入れも備える。フタと本体はマグネット固定式になっており、本体表面には宅配物のピクトグラムが描かれている。その他、宅配ボックスシールと配達員向けのマニュアルも付属する。置き配バッグのOKIPPAは、ワイヤーロックのひもをATMO本体に固定して取り付ける。
既に16万セットの販売実績があり、宅配業界や配達員などへの認知も広がっているOKIPPAと組み合わせて利用することで、「スピーディーな開発を実現し、置き配ニーズに広く対応する」(伊東氏)としている。また、ATMOの利用でも既存のOKIPPA専用スマートフォンアプリが使用でき、配送状況や着荷の確認などが可能な他、OKIPPAが提供する盗難補償サービスも利用できる。
今回スタートしたMakuakeプロジェクトの目標金額は100万円で、期間は2021年5月15日までとなる。Makuakeでの販売価格(税込み、送料込み)は、ATMO+OKIPPAのセット品が1万3800円、ATMO単品が8900円となっている。
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