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スマート工場は“分断”が課題、カギは「データ取得」を前提としたツールの充実MONOist 2021年展望(2/2 ページ)

工場のスマート化への取り組みは2020年も広がりを見せているが、成果を生み出せているところはまだまだ少ない状況だ。その中で、先行企業と停滞企業の“分断”が進んでいる。新型コロナウイルス感染症(COVID−19)対応なども含めて2021年もスマート工場化への取り組みは加速する見込みだが、この“分断”を解消するような動きが広がる見込みだ。

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期待したい「データ取得から活用まで」の負荷軽減

 この中でスマート工場化における「成果に直結するさまざまなツール」として期待したいのが「データ取得から活用まで」の負荷を軽減するツールやデバイスのさらなる登場である。

 スマート工場化を含むIoT(モノのインターネット)では実現のためのステップとして、「データ化」「IoT化」「可視化」「データ分析」「自動制御」「自律化」の6つがあるとされている。その中で、ビジネス的に何らかの価値を得るには、「可視化」以上のステップにまで進む必要がある。その一方で、工場の中は、記録を残されていても「データ化」されていないものが数多くあり、これらをデータ化していく作業に大きな負荷がかかる。また、正しい活用結果を求めるには、データの取り方や粒度なども試行錯誤する必要があり、成果を得るまでのサイクルを短くするために大きなハードルとなっている。

 さらに、データを集めたとしても、データフォーマットの整理やデータの時間軸の整理など、データを活用する前準備などに非常に多くの手間が必要で、ビジネス的なリターンがないままにこうした多くの作業が必要になることに大きな負担が生まれるサイクルになっている。つまり、スマート工場化を進めるためには、この「データの取得から活用まで」の作業負荷をできる限り減らして成果への道筋を短縮していくということがポイントになっているのである。

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「データの収集から活用まで」の負荷をいかに下げるかがポイント(クリックで拡大)出典:MONOist編集部で作成

「データ活用をシンプルに」に合わせた機械やソリューションが拡大

 工場の中でいえば、MES(製造実行システム)やSCM(サプライチェーンマネジメント)システムなどは既にシステム化されており、これらの中で取り扱われる活動は全てデータ化がされている。スマート工場化による真価はそこではなく、これらにひも付かず工場の中で、紙やExcelなどで記録されてきたデータや、機械が生み出すログデータなどをデータとして活用することにある。これらに加えて、新たに必要になった事象に対し、センサーなどを設置して取得することで、「従来見えなかった価値」を生み出そうとすることが本質である。

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OKIが2019年10月に発表したエッジコンピューティング専用端末「AE2100」(クリックで拡大)

 ただ、現状では、こうしたステップの負荷が高すぎて、思うように試行錯誤ができないということが課題であるわけだ。これらのデータの「取得」「収集」「整理」をより簡単に、より負荷を小さく、そして安く行えるようにすることがスマート工場市場を広げていく大きなポイントである。

 その意味ではここまでの実証の成果などを生かし、用途を限定しながらもデータの「取得」「収集」「整理」までをテンプレート化した一連の簡易ソリューションなどのバリエーション展開などに注目が集まる。また、2020年はエッジコンピューティング専門端末が数多くリリースされたが、これらのエッジコンピューティング端末においても用途に応じた設定を現場にさせるのではなく、事前にハードウェアに組み込んだ形で提供する動きが広がる見込みだ。実際にあらゆる製造現場で必須となるタイムライン情報を付加してデータを吸い上げる機能を持つエッジコンピューティング端末なども出てきており、これらのバリエーションはさらに増えるだろう。

 さらに、工場内機械についても「データ取得を前提とした機能」の用意が進む見込みだ。既に工作機械メーカーを含む各種機械メーカーでは、通信機能を標準搭載する動きが広がりを見せている。これを活用し、各種機械の遠隔監視や遠隔サポートなどを実施する動きである。得られたデータは、機械メーカーのクラウド基盤に蓄積される仕組みとなっている場合が多いが、多くのメーカーにおいて、API(Application Programming Interface)などを通じてユーザー側へデータ提供を進められるような仕組みも備えており、ユーザー側が持つスマート工場側データと連携させることも可能となる。これらのように、機械メーカーにとってはデータ取得を前提とし、これらの機能をどうブラッシュアップできるのかが製品力にも影響を及ぼすようになるだろう。

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