日産「ノート」が全面改良、第2世代e-POWER初採用で静粛性を向上:エコカー技術
日産自動車は2020年11月24日、コンパクトカー「ノート」をフルモデルチェンジし、同年12月23日に発売すると発表した。税込み希望小売価格は2WDモデルが202万円から。前後にモーターを備えた2モーターの4WDモデルも12月に発表する。
日産自動車は2020年11月24日、コンパクトカー「ノート」をフルモデルチェンジし、同年12月23日に発売すると発表した。税込み希望小売価格は2WDモデルが202万円から。前後にモーターを備えた2モーターの4WDモデルも12月に発表する。
2012年9月に先代モデルを発売して以来、2016年の一部改良でシリーズハイブリッドシステム「e-POWER」の搭載モデルを追加したが、フルモデルチェンジとしては約8年ぶりとなる。
先代モデルではガソリンエンジンモデルとe-POWER搭載モデルを販売していたが、新型ノートではe-POWER搭載モデルのみとする。日産自動車 執行役副社長の星野朝子氏は「ガソリンエンジンモデルがあった方が量は売れるが、ゼロエミッションをリードしていくというビジョンに従って電動化にいち早く集中していく。e-POWER搭載モデルのみとしたのは、その方針の現れだ」とコメントした。
今回のフルモデルチェンジでは、第2世代のe-POWERや、高精度地図を使わずに高度な運転支援を行う「プロパイロット」を搭載した他、プラットフォームも新たに設計した。デザイン面では、2021年に発売する新型電気自動車(EV)「アリア」との一貫性を持たせるとともに、新しいデザインの日産ブランドのバッジを採用する。車体骨格には、日産自動車としては初採用となる1470MPa級の冷間プレス用超高張力鋼板を使用し、軽量化と衝突安全性能を高次元で両立させた。
第2世代のe-POWERはモーターとインバーターを刷新した。モーターは先代ノートのシステムと比べてトルクを10%、出力を6%向上させ、発進加速と追い越しでの加速感を強化した。また、インバーターは先代ノートのシステムと比べて40%の小型化と30%の軽量化を達成。エンジンの効率も高めたことで燃費性能も改善している。
全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース | 車両重量 | JC08モード | WLTCモード | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
新型 | 4045 | 1695 | 1505 | 2580 | 1190/1220 | 38.2/34.8 | 29.5/28.4 |
先代 | 4100 | 1695 | 1520 | 2600 | 1220/1230 | 34.0 | - |
全長、全幅、全高、ホイールベースの単位はmm、車両重量の単位はkg、燃費値の単位はkm/l。先代モデルの諸元値はe-POWER搭載の2WDモデル。 |
静粛性を高めるため、エンジンの作動頻度を低減するシステム制御や車体の遮音性能の向上を実施した。さらに、路面状態を基にロードノイズの大きさを判断し、ロードノイズが大きいときにエンジンを作動させて積極的に発電する制御も開発した。
プロパイロットは、ナビリンク機能付きのシステムを日本国内では初搭載した。プロパイロットがメーカーオプションのナビゲーションシステムと連携することにより、制限速度に合わせた設定速度の切り替えや、カーブの大きさに応じた減速をシステムが支援する。「多くの人がプロパイロットの効果を感じやすく、使ってもらいやすい形として、ナビリンク機能付きを搭載する」(日産自動車)という狙いだ。また、下り坂でブレーキを制御して設定速度を維持したり、停止から30秒以内であれば追従走行を再開したりすることにも対応している。
エクステリアは、アリアで取り入れた新しいデザイン言語を取り入れることにより、コンパクトカーでありながら存在感を持たせたとしている。フロントグリルと一体化した薄型のヘッドランプ、新型のVモーションクローム、フロントからリアまで1本の線でつなぐキャラクターライン、抑揚をつけた張りのある面、横一文字のリアコンビネーションランプなどを採用した。フロントグリルには、日本の伝統工芸の組子から着想を得たパターンをあしらった。インテリアは、センターディスプレイと一体化したメーターを装備し、先進感と使いやすさを兼ね備えるデザイン思想を実現したとしている。
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