インフラ協調型モビリティサービス実証用の実験施設を開設:製造マネジメントニュース
NECは、ローカル5Gや映像分析などの先進技術を活用したインフラ協調型のモビリティサービスなどの検証、評価ができる実証施設「NECモビリティテストセンター」を静岡県御殿場市に開設した。
NECは2020年11月6日、インフラ協調型のモビリティサービスや自動運転支援などの検証、評価ができる実装施設「NECモビリティテストセンター」を静岡県御殿場市に開設した。ローカル5Gや映像分析などの先進技術を活用し、さまざまな評価、検証を実施する。
インフラ協調とは、車両と道路付帯物などが無線通信で情報交換することで、事故の抑制や渋滞緩和、車両運転支援などを実現する仕組みのこと。政府が推進する「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(IT新戦略)」では、5Gと交通信号機との連携による新たな道路交通インフラ実現に向けた指針が掲げられている。その中で、実証実験の実施も計画されている。
今回開設したNECモビリティテストセンターには、信号灯器や横断歩道などの疑似的な道路設備、ローカル5G基地局、C-V2X路側機などの無線通信設備、路側カメラ、AI(人工知能)用エッジ処理装置などを設置している。
実施を想定している実験は、「ローカル5Gと映像分析の先進技術実験」「交通マネジメント実験」「道路インフラのマネジメントの実験」の3つとなる。
先進技術実験では、ローカル5Gを用いて、道路付帯物に設置したカメラで交差点の俯瞰的な映像を取得、分析し、横断者情報や衝突予測情報、速度超過車両情報を周囲の5G端末搭載車両へ通知する。死角となり得る位置の危険車と人をデジタル情報化し、安全安心な運転支援や自動運転につなげる。
交通マネジメント実験では、通行車両や歩行者のカメラ映像から、交通量をリアルタイムで検知したり、ナンバープレートを識別する。地域外からの流入車両数や時間帯による車両および歩行者量の変化を把握し、交通マネジメントにつなげる。
また、道路インフラについては、路側のカメラで路面状況を取得、分析し、落下物などのインシデントをリアルタイムで把握し、5G端末搭載の周辺車両へリアルタイムに通知する。
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