アクセンチュアがデジタル本部を発展解消、新体制で「変化を促す存在」へ:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
アクセンチュアは2020年9月にスタートした新年度(2021年8月期)の事業方針と次世代成長モデルについて説明。米国本社の新CEOとしてジュリー・スウィート(Julie Sweet)氏が就任した2019年9月からの1年間で組織改編を進めており、日本法人でも新たな組織体制を発足させて次なる成長に備えているという。
3000人体制で「圧倒的な規模のコンサルティング能力」
これらの新たな方針に基づき、アクセンチュアの日本法人の組織体制も変更されることになった。AI(人工知能)やインダストリー4.0などと関わるIX(Industry X.0)、アクセンチュア インタラクティブなどから成るデジタル本部について、AIやIXが全てのビジネスと関連することから発展解消し、あらためて「ビジネスコンサルティング本部」「テクノロジーコンサルティング本部」「オペレーションズコンサルティング本部」と、デジタル本部から切り出した「インタラクティブ本部」という4つの組織に再編した。江川氏は「これら4つの組織が交わる部分が大きくなっており、緊密に連携して顧客に対応できる体制となった」と説明する。
また、P/L(損益計算書)の単位は産業別から市場別となったことを受けて、日本法人で日本市場全体を管轄する。なお、日本市場は、北米と欧州を除く「成長市場」に入っており、今後の成長が期待されていることが分かる。
日本法人の新体制で大きな役割を果たすのは、従来の戦略とマネジメントを合わせて約3000人のコンサルタントを擁し「圧倒的な規模のコンサルティング能力」(江川氏)を持つビジネスコンサルティング本部だ。デジタル本部で扱っていたAIやIXを司り、全ての産業、全てのサービスを束ねていくことになる。
ビジネスコンサルティング本部では、コンサルティングの価値として、テクノロジーの活用によって「企業変革を早く実行して、早く成果を出す」ことに主眼を置く。テクノロジーについては、モノづくりやサプライチェーンに基づくOT(制御技術)、AIやアナリティクス、情通通信(IT)が基盤となり、アクセンチュアがカバーする19の産業と5つの経営機能に対応しながら、顧客企業である経営者に伴走する。そして、それぞれを担当する6つの専門家集団が連携してコンサルティングを行っていく。
特に、AI活用によって得られる日本市場の成長予測が、米国や欧州のほとんどの国よりも小さいことを課題と捉えており「これをいかにして打破していくかがわれわれのミッションだ」(アクセンチュア 専務執行役員 ビジネスコンサルティング本部統括本部長 兼 ストラテジーグループ アジア太平洋・アフリカ・ラテンアメリカ・中東地区統括本部長の牧岡宏氏)という。
そのために用意している「AI Powered サービス」の中でも鍵になるのが「AI Powered マネジメントコックピット」だ。牧岡氏は「AIをうまく使って経営判断するのを妨げる“バイアス”を取り除くのに役立つ」と述べている。
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