SpaceJetは「いったん立ち止まる」、三菱重工は新中計で成長領域を創出できるか:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
三菱重工業は2020年度第2四半期の決算と、2021〜2023年度の中期経営計画「2021事業計画(21事計)」を発表した。半年前倒しで策定した21事計のうち、SpaceJet(旧MRJ)事業については、「M90の開発はいったん立ち止まる」と説明し、100%の事業凍結ではなく2024年以降の旅客需要の回復を期待して一部事業を継続する方針を示した。
2020年度上期業績は「おおむね想定内」
三菱重工の2020年度上期連結業績は、受注高が前年同期比17.7%減の1兆3972億円、売上収益が同11.7%減の1兆6586億円、事業損益が同1330億円悪化の586億円の損失、親会社の所有者に帰属する当期損益が同863億円悪化の570億円の損失となった。COVID-19の影響により減収減益となったものの「2020年5月に発表したCOVID-19の影響を入れ込んだ業績見通しと対比すればおおむね想定内。第2四半期は第1四半期と比べて回復の兆しがあり、事業利益でみれば黒字に戻している」(同社 取締役執行役員 CFOの小澤壽人氏)という。
ただし、事業セグメントごとで見た場合には当初予想との違いも出ている。エナジーやプラント・インフラなどの受注品事業は、COVID-19の影響が想定より大きくなっている。一方、厳しい予想をしていた物流・冷熱・ドライブシステムなどの中量産品事業は、市況の緩やかな回復や固定費削減効果により当初計画を大幅に上回っている。
なお、COVID-19の影響については、民間航空機の構造体事業(ティア1)は、前年同期比で売上高が半減した第1四半期から第2四半期は回復基調にあるものの当初想定を下回るレベルで推移している。民間航空機向けの航空機エンジン事業は、第1四半期が前年同期比55%減まで落ち込み、第2四半期も同40%減となり、当初想定のボトムラインで推移しているとする。一方、中量産品事業は、前年同期比30%減となった第1四半期を底に回復しており、第2四半期は黒字化に持ち込んだ。
2020年度通期連結業績見通しは、受注高が3兆5000億円、売上収益が3兆7000億円、事業利益が500億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が200億円に修正した。5月の前回予想と比べて、受注高は同じだが、プラント・インフラにおける工事進捗の遅れで売上収益が1000億円減少した。一方、事業利益は500億円、当期利益は200億円上方修正しているが、これはヴェスタス(Vestas Wind Systems)とのジョイントベンチャーであるMHI Vestas Offshore Windの株式をヴェスタスに売却することによる利益が反映されている。
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