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日本は「自動車産業After2050」を考えるときではないか和田憲一郎の電動化新時代!(39)(3/3 ページ)

各国の規制は既に2050年までほぼ固まっており、これが早まることはあっても、後退することはないだろう。海外の自動車メーカーもこれに沿って車種ラインアップや事業計画を見直していると予想される。そう考えると、他社より一歩先んずるためには、まだ固まっていない、不透明な2050年以降を想定していくことが必要ではないだろうか。まさに日本が生き残るための「自動車産業After2050」である。

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(3)モビリティのエネルギー源とシステム

 3つ目は、ゼロエミッション車の構造変化である。2050年代以降、生き残るのはゼロエミッション車であるEVやFCVであることは間違いない。“空飛ぶクルマ”も話題になっているが、2050年ごろに多くの乗用車やバス、トラックが空飛ぶクルマになるとも考えにくい。また、EVやFCV以外の全く新しいモビリティも可能性としてあるが、それを開発して世界的に普及させるには、インフラなども含めると20年以上が必要ではないだろうか。

 EVやFCVが最有力と想定すると、そのエネルギー源はどうなるだろうか。2050年以降も存在しており、使いやすい2次エネルギーとなると、電気や水素、ガソリン、ガスなどがあるが、やはり再生可能エネルギーとして作りやすく、安価でどこでも容易に使える点から電気に軍配が上がると推察する。地域によっては水素もあるかもしれない。

 EVの場合、これまでのように大容量のバッテリーに電池を充電し、走行する方法とは限らない可能性がある。インフラとの連携にもよるが、従来型の大型バッテリーを搭載するモビリティと、都市部では小型のバッテリーだけを搭載するモビリティに分かれるように思われる。

 そのとき、筆者が想定する走行システムは、ワイヤレス給電のように車道の下側や側面、上面から供給されるような形になるかもしれない。つまりモビリティと電力システムとの融合である。将来を見据えて、自動車メーカーと電力会社が新たなモビリティと電力システムの在り方を共同開発することも考えられる。日本の自動車メーカーと電力会社は高い技術力を有していることから、可能性が高いのではないだろうか。

 今話題となっているブロックチェーン、分散台帳技術、デジタルツイン、DXなどは、2050年の時点ではもはや一般的となっているか、はやり言葉としてすたれているのかもしれないが、本質的なものは残るような気がする。

 今回は3つのキーワードを列記したが、各企業で業界特有の事情として他に予測できることもあるのではないだろうか。大切なことは、手遅れとならないうちに、将来を読み自分たちの考えを具体化することに着手できるかどうかだ。時間がたつにつれて、他の自動車メーカーだけでなく、IT企業など多くの企業が真空地帯を考え、ビジネスを押さえられてしまうことを危惧する。

 最後に、経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が残した名言は今回の「自動車産業After2050」にも当てはまるのではないか。

The best way to predict the future is to create it.
(未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだ)

→連載「和田憲一郎の電動化新時代!」バックナンバー

筆者紹介

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和田憲一郎(わだ けんいちろう)

三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。


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