「MSC Nastran Excellence Award」第1位をボルボが獲得:CAEニュース
エムエスシーソフトウェアは、同社の有限要素解析構造シミュレーションツール「MSC Nastran」を革新的な使用法で製品設計に適用した事例を表彰する、「MSC Nastran Excellence Award」の受賞企業を発表した。第1位はボルボが獲得した。
エムエスシーソフトウェア(MSC)は2020年10月13日、「MSC Nastran Excellence Award」の受賞企業を発表した。
第1位を獲得したのは、スウェーデンのボルボ・カー・コーポレーション(Volvo Car Corporation)。第2位は、ドイツ航空宇宙センター(DLR)と日本のエステックが獲得した。
「MSC Nastran」を革新的な使用法で製品設計に適用した事例を表彰
MSC Nastran Excellence Awardは、高精度な有限要素解析(FEA)構造シミュレーションツール「MSC Nastran」を、革新的な使用法で製品設計に適用した事例を表彰するもので、今回が初開催となる。審査はMSCの技術担当者、マーケティング担当者、CAE業界コンサルタントから成る審査委員会が務めた。
ボルボは、車体の振動がオーディオシステムの性能に与える影響をMSC Nastranでシミュレーションし、影響を軽減するためのデータをエンジニアに提供した。
自動車メーカーが自らオーディオのCAE解析を実施することで、システムがどのように作動するかを車両に取り付ける前に予測できるため、取り付け後のチューニングに必要な時間が削減でき、その結果、市場投入までの時間も短縮できる。ボルボの第1位獲得は、この革新的なMSC Nastranの使用方法が高く評価されたものだ。
第2位のドイツ航空宇宙センターは、一般的な航空機が耐えられる負荷をMSC Nastranプラットフォームで推定した。また、同センターは個々の部品設計を最適化するためにも同プラットフォームを使用している。
同じく第2位のエステックは、一本鎖DNAで被覆した単層カーボンナノチューブ複合体の、水中での挙動をシミュレーションした。同複合体は、バイオセンサーやがん治療薬の運び手としての活用が期待されており、生物ナノデバイスとしての性能を発揮するためには、その有効長さや吸着剛性を明らかにする必要がある。エステックの解析手法は、医療技術者の支援につながるものといえる。
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