国産手術支援ロボット「hinotori」がIoTプラットフォームと連携、AI解析が可能に:製造業IoT
オプティムは、メディカロイドの手術支援ロボットシステム「hinotori サージカルロボットシステム」の運用支援などを行うネットワークサポートシステムのプラットフォームである「Medicaroid Intelligent Network System(MINS)」を、メディカロイド、シスメックスと共同開発したと発表した。
オプティムは2020年10月26日、メディカロイドの手術支援ロボットシステム「hinotori サージカルロボットシステム(以下、hinotori)」の運用支援などを行うネットワークサポートシステムのプラットフォームである「Medicaroid Intelligent Network System(以下、MINS)」を、メディカロイド、シスメックスと共同開発したと発表した。
MINSは、hinotoriに搭載された各種センサー情報や内視鏡映像および手術室全体の映像といった情報をリアルタイムで収集、解析、提供できるオープンプラットフォームである。オプティムが展開するAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)プラットフォームサービス「OPTiM Cloud IoT OS」がベースとなっている。MINSを介して得られる情報をデータベース化し、自社またはサードパーティーによるAI解析やシミュレーションなど新たなサービスを追加することも可能だ。メディカロイドは、OPTiM Cloud IoT OSの特性を活用して、AI解析やシミュレーションなどMINSの機能を拡張し、hinotoriのデジタル戦略を強化していく方針である。
今回の発表では、3つのリモートサポートサービスの提供を明らかにした。1つ目の「ログデータの収集・蓄積」では、hinotoriの稼働状態やエラー情報をリアルタイムに収集する。メディカロイドのサポートセンターにおいて、収集した情報を基に、顧客の運用に関する問い合わせやトラブルに遠隔から対応できる。
2つ目は「映像配信・閲覧」だ。OPTiM Cloud IoT OSの標準モジュールである「Video Streaming」の活用により、手術室の映像のライブ配信・閲覧が可能になるので、メディカロイドのサポートセンターで手術室の状況を正確に把握できる。3つ目は「ロボットの動きを再現」である。OPTiM Cloud IoT OSの標準モジュールである「Digital Twin」を活用し、hinotoriの稼働状態を3次元的に再現する。これにより、手術中のロボットの動作に加え術者の操作もメディカロイドのサポートセンターで視覚的に把握することが可能になる。
国産で初めて製造販売承認を得た手術支援ロボット「hinotori」
hinotoriは、2013年に川崎重工業とシスメックスが共同出資して設立したメディカロイドが開発した手術支援ロボットである。オペレーションユニット、サージョンコックピット、ビジョンユニットの3ユニットで構成される。
手術を実施するオペレーションユニットのアームは、ヒトの腕に近いコンパクトな設計で、アーム同士やアームと助手の医師との干渉を低減し、より円滑な手術が可能となることが期待されている。サージョンコックピットは、執刀医の姿勢に合わせることが可能なように人間工学的な手法で設計されており、執刀医の負担を軽減し、ストレスフリーな手術を支援する。ビジョンユニットは、サージョンコックピットに高精細な内視鏡画像を3Dで映し出すとともに、執刀医と助手の医師との円滑なコミュニケーションをサポートする。
2015年度から“人とロボットの共存”をコンセプトに開発が進められてきたhinotoriは、2020年8月7日に国産の手術支援ロボットとして初めて製造販売承認を取得しており、同年9月からは保険適用となった。まずは、日本市場で泌尿器科を対象に早期の市場導入を目指しているところだ。
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