国産の手術支援ロボットが製造販売承認を取得:医療機器ニュース
メディカロイドの手術支援ロボットシステム「hinotoriサージカルロボットシステム」が、国産として初めて製造販売承認を取得した。同システムは、執刀医や助手の医師の負担を減らし、スムーズで低侵襲な外科手術を支援する。
メディカロイドは2020年8月11日、手術支援ロボットシステム「hinotoriサージカルロボットシステム(hinotori)」が、国産として初めて製造販売承認を取得したと発表した。まず国内で、泌尿器科向けにhinotoriの早期市場導入を目指し、その後適用可能な診療科を拡大していく。
hinotoriは、執刀医が操作をするサージョンコックピット、実際の手術を実施するオペレーションユニット、サージョンコックピットに表示する映像の統合や音声の制御を担うビジョンユニットの3ユニットで構成されている。
人間工学に基づいて設計されたサージョンコックピットは、執刀医の姿勢に合わせられるため、医師が操作する際の負担を軽減する。オペレーションユニットのアームは人の腕のような作りになっており、アーム同士やアームと助手の医師との干渉を減らして、スムーズな施術を支援する。ビジョンユニットは、サージョンコックピットに高精細な3D内視鏡画像を表示する。
低侵襲な外科手術の広がりとともに、手術支援ロボットの需要が拡大している。日本は、産業用ロボットの世界シェアにおいて過半数を占めるが、国産の手術支援ロボットはこれまで販売されていなかった。メディカロイドは、国産の医療用ロボットを開発するため、2013年に川崎重工業とシスメックスの共同出資によって設立された。
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