お手本はマツダ、“現場の使いやすさ”を追求したOKIのLEDプリンタ:製造マネジメントニュース
OKIデータは2020年10月22日、医療や流通、小売り、工場など印刷が欠かせない現場向けに特化したカラーLEDプリンタ「COREFIDO(コアフィード)C650dnw」を発売したと発表した。現場向けでのニーズを徹底して調査し、同等機種で最小クラスの本体サイズを実現した他、設置やメンテナンスの省スペース化、高い生産性を両立させた点が特徴である。
OKIデータは2020年10月22日、医療や流通、小売り、工場など印刷が欠かせない現場向けに特化したカラーLEDプリンタ「COREFIDO(コアフィード)C650dnw」を発売したと発表した。現場向けでのニーズを徹底して調査し、同等機種で最小クラスの本体サイズを実現した他、設置やメンテナンスの省スペース化、高い生産性を両立させた点が特徴である。
オフィス向けの印刷需要は減少するも現場向けは成長余地あり
業務用プリンタは成熟市場となっており「代わり映えがしない製品が増え、価格競争が中心となり危機感があった。こうした中、転換のきっかけとなったのがマツダの方による当社内での講演だった」(OKIデータ 代表取締役社長の森孝廣氏)という。
森氏は「自動車業界は大きな転換期にあり、電気自動車(EV)などへのシフトが大きな関心事になっている。しかし、その中でマツダはSKYACTIV技術により、ガソリンエンジンでありながらハイブリッド車(HEV)並みの燃費を実現するなど、新たな価値を証明し続けている。こうした自動車業界の置かれた環境が、プリンタ業界と似ているように感じた。そこで、時流や世の中の方向感に流されるのではなく、マツダのように自分たちの技術を見つめ直して磨くことで、新たな価値を発信できるのではないかと考えた」と語る。
そこで生まれたのが、OKIデータの持つプリンタ技術の強みを組み合わせて実現する「現場向けのプリンタ」という発想だった。「OKIデータのプリンタに関する技術はLED技術による小型化やコンパクトさ、高信頼性、ユーザビリティなどである。これらを生かせる領域として、一般オフィス向けではなく、現場向けに特化することで強みを発揮できると考えた」と森氏は述べる。
「印刷に関わる現場の生産性向上」をミッションとして位置付け、2019年から高信頼性と長寿命を実現したA3カラープリンタやオンデマンドカラーLEDラベルプリンタ、幅狭カラーLEDプリンタなどの現場向け製品を展開してきた。そして、戦略製品として新規設計を行い5年の開発期間をかけて投入するのが新製品の「COREFIDO C650dnw」となる。
新規設計でメンテナンススペースを大幅削減
「C650dnw」は、現場向けで“究極のユーザビリティ”を目指したとする。具体的には設置スペースや本体サイズに加えて、メンテナンススペースの最小化を目指した点が特徴だ。これらの省スペース化を実現する技術として「デュアルモーションドラムバスケットシステム」「フレキシブルトナートランスポートシステム」「定着器ダイレクトアクセスシステム」の3つの省スペース化技術を新規開発した。
「デュアルモーションドラムバスケットシステム」は、イメージドラムなどの消耗品交換時には、イメージドラムが格納されているバスケットを前面に引き出せる仕組みのことだ。紙詰まり発生時には用紙搬送路に前面からアクセスできるように上面側にバスケットを持ち上げて対応ができる。これにより、全メンテナンスを前面からのアクセスで対応できるようになる。加えて、「定着器ダイレクトアクセスシステム」により、従来はトップカバーを開かないと交換できなかった定着器をダイレクトに着脱可能とし、メンテナンスの負荷を大きく低減している。
設置スペースの最小化については、内部冷却エアフローの全面見直しを行い、装置左右2cmのスペースでの設置を可能とした。また、装置内の空いたスペースにトナーを搬送するルートを自由に形成する「フレキシブルトナートランスポートシステム」を採用し、さらに内部の部品レイアウトをゼロベースから新設計したことでスペース効率を大幅に向上し、同等の機能を持つ製品に対して大幅に小さいボディーサイズを実現している。
一方で、現場の使用に耐えうる高性能化も推進。毎分35ページ、ウォームアップタイム約11秒の高速印刷に加え、装置寿命60万ページ(または5年)の高耐久性を実現する。さらに、低負荷現像方式の採用によるイメージドラムの長寿命化や、特殊用紙への印刷にも対応し、現場業務の効率化や生産性向上に貢献する。ターゲットは現場全般だが、特に医療向け、流通・小売業、文教を狙うとし、グローバルで年間2万台、国内で年間1万台の販売を見込んでいる。
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