富士通がローカル5G対応スマートデバイスを投入、Sub-6とSA方式にも対応:製造業IoT
富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は、ローカル5Gに対応したスマートデバイスを開発したと発表した。国内で進むローカル5Gのネットワーク検証や実証実験向けに2020年10月末から提供を開始する。
富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は2020年10月16日、ローカル5Gに対応したスマートデバイスを開発したと発表した。国内で進むローカル5Gのネットワーク検証や実証実験向けに同年10月末から提供を開始する。価格は、顧客の課題ごとに異なる条件に合わせて設定するため非公開としている。
今回開発したローカル5G対応スマートデバイスは、5Gの通信周波数として用いられるミリ波帯と6GHz以下のSub-6に対応し、制御信号に既存のLTEを、データ送信に5Gを用いるNSA(Non Stand Alone)方式と、制御信号もデータ送信も5Gを用いるSA(Stand Alone)方式の両構成に対応したスマートフォンタイプの端末である。外形寸法が約164×76×7.7mm、重量が約171gと小型軽量で持ち運びしやすく、4K撮影対応のカメラやGPS、マイク、加速度などの各種センサーを搭載しているのでさまざまな実証実験に活用できるという。
OSはAndroid 10を採用しており、検証用のアプリケーションの開発や実装が容易だ。クアルコム(Qualcomm)のハイエンドスマートフォン向けプロセッサ「Snapdragon 865」を搭載しているので、エッジAI(人工知能)や高精細動画再生などの高負荷な処理も軽快に動作する。Wi-Fiも最新のWi-Fi6に対応しており、その他BluetoothやUSBホスト対応などによってさまざまな機器を追加、制御できるようになっている。
ディスプレイはサイズが6.7インチで、画素数が1440×3120、RAM容量は8GB、ストレージ容量は128GB。対応バンド構成は、5GのSA:n79/NSA:n79、n257の他、NSA方式の通信制御に用いるLTEのアンカーバンドとして、国内のプライベートLTEであるB39(sXGP)とB41(地域BWA)にも対応する(B39については、ローカル5Gのアンカーバンド使用の制度化後に技適取得予定)。
デバイス本体に加えて、実証実験などで安定した通信環境を構築するのに必要なローカル5Gのネットワーク状態を可視化する独自ツールも提供する。同ツールは、LTEおよび5G(Sub-6/ミリ波)の無線情報のリアルタイム表示や、位置情報を含む無線情報の時系列ログ保存、スループットの測定及び測定ログの保存、シグナリングのシーケンスログ出力といった機能を備えている。
FCNTは2020年5月、クアルコムとの協業により開発した5Gスマートフォンのレファレンスデザインを発表している。今回のローカル5G対応スマートデバイスは、これをベースに開発したものだ。
FCNTは今後、ローカル5G対応スマートデバイスの他にも、カメラデバイスなどさまざまなエッジデバイスをラインアップに加える方針だ。また、独自のエッジAI技術を生かしたソリューション、無線の技術およびノウハウを最大限活用した安定・信頼のローカル5G通信環境整備、長年の法人ビジネスで培った運用サポートをワンストップで提供する「ローカル5Gソリューション」を目指して、日々研究開発を進めていくとしている。
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それってスゴそうですけどやっぱりお高いんですよね〜、のままでは普及しないかと。