予知保全や要因分析に活用、インバーター駆動対応の小形ギヤモーターIoT仕様:FAニュース
椿本チエインは、インバーター駆動対応の「つばき小形ギヤモータ IoT仕様」を発表した。異常発生時のモーター停止やアラーム出力による装置の予知保全、トラブル発生時の要因分析に活用できる。
椿本チエインは2020年10月1日、工場のIoT(モノのインターネット)化を支援する、インバーター駆動対応の「つばき小形ギヤモータ IoT仕様」を発売した。ハイポイドモートル、ギヤモートル(対応容量:0.1kW〜1.5kW)の2機種を用意し、2021年度に8000万円、2022年度に1億円の販売を見込む。
汎用ギヤモーターのユニット(端子箱)に高精度の電力、温度、振動センサーを内蔵しており、高精度な負荷監視に対応する。多くの設備で使用されるインバーター駆動にも対応し、異常発生時の自動記録機能やネットワーク上での遠隔監視機能を一体化した。
各センサーはそれぞれの負荷を常時監視し、異常発生時にモーターの停止やアラームを出力することで、トラブル発生を未然に防止する。また、各種データの自動保存機能により、トラブル発生時の要因分析もできる。
特許出願中の温度センサーを用いた補正機能は、より実負荷に近いトルク演算が可能で、軽負荷から高負荷まで高精度な監視ができる。温度センサーと振動センサーを用いて、連続高負荷運転によるモーターの発熱や振動も同時に監視する。これにより、ギヤモーターだけでなく装置全体の負荷状況を把握し、装置トラブルを未然に防止する。
電力監視では、瞬間的な過負荷の監視、サーマル監視、負荷が軽くなった場合の下限検知機能を搭載。異常を検知した時点から10秒間(初期設定)さかのぼったデータを自動保存する機能により、異常発生時の負荷、温度、振動が明確になり、正確な要因分析が可能になる。
IoT対応機能を搭載しており、有線、無線通信に対応する。最大16台の装置とのネットワーク接続と、装置の負荷状況によるトルク変化や駆動部の発熱、振動の状況を遠隔で監視できる。また、簡単に各種データの保存、各パラメーターを変更できる専用ソフトウェアを無償で提供する。
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