富士通が製造業のDX支援事業を再構築、ソリューションをサブスクで提供:製造マネジメントニュース
富士通は2020年10月12日、製造業向けのDX支援を行う「ものづくりソリューション事業」を再構想し、新たなサービスやソリューション群を提供開始すると発表。「COLMINA」のサブスクリプションサービス化や、リモート製品設計/開発を支援するソリューションを2020年度内から順次展開する。
富士通は2020年10月12日、製造業向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を行う既存の「ものづくりソリューション事業」を再構築し、新たなサービスやソリューション群を提供開始すると発表した。生産オペレーションの効率化を実現するソリューション「COLMINA(コルミナ)」をサブスクリプションサービス化する他、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下でのリモート製品設計/開発を支援するソリューションを2020年度内から順次展開する。
サブスクリプション化でDX導入コストを低減
富士通は現在、製造業のスマートマニュファクチュアリング化を推進するサービスやソリューションをCOLMINAを中心に多数展開している。
しかし、国内の製造業界では、スマートマニュファクチュアリングの実現が困難な状況が続いている。全社グループ内での業務プロセスやデータの標準化が進んでいないことや、DX自体に多大な資金投資が必要なことが障壁となるからだ。これを打破するため富士通は、既存のものづくりソリューション事業の改革を目指す新たな事業構想として「ものづくりグローバルオファリング」を提示する。
ものづくりグローバルオファリングのポイントは「チャネル改革」「グローバル3HQ(ヘッドクオータ)」「ブランド統一」の3点である。COLMINAのアプリケーション群をサブスクリプション化(チャネル改革)するとともに、マーケティングや企画、設計の拠点を日本、米国、ドイツの3地域に設置する(グローバル3HQ)。また、現在60種類以上あるDX支援製品をCOLMINAブランドで統一化する(ブランド統一)。サブスクリプションによる定額化を通じてコスト面を抑えつつ、グローバルかつ業界横断的な視点で顧客のDXに関するニーズをくみ取り、それらに合わせたさまざまなサービスやソリューションを提供していくという。
これらの変革を推進するデジタル基盤としては、2020年9月に富士通、ファナック、NTTコミュニケーションズの3社が設立したDUCNET(ディーユーシーネット)の展開する「デジタルユーティリティクラウド」を活用する。
COLMINAサブスクリプションサービスは2021年4月より、月額15万円(税別)から提供開始予定。
COLMINAの他に3つのサブスクサービス
また、富士通はCOLMINAに加えて、「クラウドロボティクスサービス」「PLM/ERP/MES連携サービス」「スマートファクトリーサービス」の3つをサブスクリプションサービスとして順次提供開始する。
クラウドロボティクスサービスでは、ロボットを用いた工場設備やシステムの構築、制御がクラウド上で効率的に実行できる他、クラウドを通じたロボットのソフトウェアアップデートなども行える。
PLM/ERP/MES連携サービスでは、自動車やエレクトロニクスなど業種ごとのプリセットを使ってPLMとMESの導入を効率化できる。また、業務データとIoT(モノのインターネット)データを連携させることで業務効率化を図れる業務効率化シナリオも併せて提供する。シーメンスやSAPなどのソフトウェアとの連携も強化していく予定だ。
スマートファクトリーサービスはデータ設計やプログラミングを用いずに設備稼働状況を可視化できる点を強みとする。富士通が自社工場の経験を基に作成した、100画面以上の生産性、品質分析テンプレートを定額で無制限に使える点も大きな特徴だ。
この他に、製造業のリモートワーク環境を構築するためのソリューション群も新たに展開する。
シーメンスの「Xcelerator」を用いて、オフィス外からスマートフォンやタブレット端末でCADデータを閲覧、マークアップ、共有できるソリューションや、Altair Engineeringの「HyperWorks Unlimited Virtual Appliance」を用いて、グローバルに使えるCAEクラウドを構築するソリューションなどがある。
また、富士通の技術スペシャリストがリモートでモノづくり現場の支援を行うソリューションも提供する。富士通研究所が開発した同時双方向遠隔コラボレーションツール「Izumina(イズミナ)」を活用することで、通信遅延によるストレスの少ない現場支援を可能にする。
「COLMINA Design Review 高速リモートデスクトップ」を活用したソリューションもある。高速画面転送技術「RVEC」を活用することで、通信データ量が従来比2分の1に圧縮され、低速回線でも高精度かつ滑らかな画像転送が可能になる。これによって、3D CADやCAE解析処理の操作を遠隔地からスムーズに行える上、工場内のカメラ映像を遠隔地から高解像度で確認することも可能になる。
富士通が手掛けるDX支援サービスやソリューションの展望について、富士通 COLMINA事業本部長の山本有輝氏は「COLMINAビジネスの売上高は現時点で200億円程度の規模だ。今回、ものづくりグローバルオファリングとして発表したサービスやソリューションを展開していくことで、2025年までに1000億円規模の成長を目指す」と説明した。
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