製造分野はスマート工場化が追い風に、ITソリューション市場の調査結果が公開:製造マネジメントニュース
電子情報技術産業協会(JEITA)は2020年9月17日、2018〜2019年度におけるソリューションサービスの国内売り上げ規模について、製造分野など利活用分野別にまとめたデータなどを含む調査結果を発表した。利活用分野別では、製造分野が前年比で最大の伸び率を達成している。
電子情報技術産業協会(JEITA)は2020年9月17日、2018〜2019年度におけるソリューションサービスの国内売り上げ規模について、製造分野など利活用分野別にまとめたデータなどを含む調査結果を発表した。利活用分野別では、製造分野が前年比で最大の伸び率を達成している。
前年比最大の伸び率を示したのは製造分野
調査は2018〜2019年度にかけて実施した。JEITA正会員のうち、2018年4月1日から2020年3月31日の間にソリューションサービスの売り上げがあった、沖電気工業(OKI)や東芝デジタルソリューションズなど30社を対象に調査を行った。
ソリューションサービス全体の売上規模は国内では6兆5432億円で、前年比103.3%の伸び率であった。また、国内での売り上げに海外での売り上げを合計すると7兆7752億円となり、前年比100.5%となった。
JEITA ソリューションサービス事業委員会 副委員長を務める込宮信治氏(沖電気工業 ソリューションシステム事業本部企画管理部 シニアスペシャリスト)は「リーマンショックや東日本大震災の影響もあり、2010〜2012年は5兆円程度の売り上げ規模で推移していたが、その後のアベノミクスによる金融緩和政策の影響や、企業によるIT投資の活発化が市場全体にポジティブな影響を与えており、順調に拡大を続けている。また、2020年に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックに向けたインバウンド向けIT投資も追い風となり、売り上げ規模は6兆円を超えるほどに成長した」と語った。
ソリューションサービスを「SI(システムインテグレーション)開発」と、OSやミドルウェア、アプリケーションパッケージなどソフトウェア製品全般を指す「ソフトウェア」、ハードウェアやソフトウェアの保守サービスやクラウドサービスなどアウトソーシングサービス全般を含む「アウトソーシング・その他サービス」の3種類に分類した売り上げ調査も行った。SI開発の売上高は3兆3521億円で前年比106%、ソフトウェアは7896億円で前年比110.6%、アウトソーシング・その他サービスは2兆4015億円で前年比103.3%となった。
また、ソリューション市場を利活用分野別に「金融」「流通」「サービス」「製造」「社会インフラ」「公務」「その他日本向け」の7項目に分類して、各項目別の売り上げを集計している。前年からの伸び率が最も高かったのは製造分野で、1兆3158億円と前年比107%を達成した。次に伸び率が高かったのは公務分野で、1兆3023億円と前年比103.9%となった。込宮氏は「製造分野ではスマートファクトリーの進展に伴い、データを活用した工場内の『見える化』が進み、好調な伸びにつながった。公務については政府のインフラ投資が活発化していることが原因だろう」と推測を明らかにした。
JEITA ソリューションサービス事業委員会 委員長を務める馬場俊介氏(富士通 理事 サービステクノロジー本部長)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による市場影響について「今回の調査は、調査期間の関係上、COVID-19による影響を正確に反映しているとは言い難く、実際の影響度合いは分からない。ただ、市場影響が少なからず出ていることは確かだろう。一方で、COVID-19によって業務の非接触化や、バーチャル空間とリアル空間のコラボレーションなどをはじめとするDX(デジタルトランスフォーメーション)への需要は増えると見込んでおり、市場成長の新たなチャンスだとも捉えられる」と語った。
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