交通量調査でおなじみの数取器に隠された間欠動作の仕組みに迫る!!:身近なモノから学ぶ機構設計“超”入門(7)(3/3 ページ)
身近にあるモノを題材に、それがどんな仕組みで動いていて、どんな機構が使われているのかを分かりやすく解説する連載。今回は、前回に引き続き「間欠運動機構」をテーマに、交通量調査などでおなじみの数取器(カウンター)の仕組みを解明する。
図解! ダイヤルの中で何が起こっているのか?
図8は、下1桁が9、下2桁が99、下3桁が999、そして9999を除いた、全ての場合の爪とダイヤルの爪車との位置関係です(ダイヤルの回転位置はそれぞれの数で変わる)。
爪は、トーションばねで常にダイヤルの爪車に抑え付けられていますが、爪の長さが違うため、一番長い緑色の爪だけが引っ掛かります。そのため、ホルダーの回転とあわせて緑色のダイヤルだけがストッパーを乗り越えて回転し、その他の位は爪が低いためダイヤルの爪車に引っ掛からず回りません。
次に、9や19、29など下1桁が9の場合です。
緑色の爪が爪車の欠けた溝にはまり、今まで当たらなかった紫色の爪がかみ合うようになりました。これで緑色と紫色のダイヤルが同時に回るため、緑色のダイヤル(一の位)9は0になり、紫色のダイヤル(十の位)数が1つ上がります。後はこれの繰り返しです。
図10は、下2桁が99の場合です。
図11は、下3桁が999の場合です。
今回のまとめ
溝にはまる爪の数と爪の高さで、爪車とかみ合う爪の数を調整し、各数字でどのダイヤルが回るかをコントロールすることで、1〜9999を順番に表示する機能を実現しています。
一見複雑に思えますが、ダイヤルやストッパーは全て同一形状となっており、それを回す爪部品は1つの部品のみで構成されています。そのため、どの順番でダイヤルを組み付けても必ず同じ動作をします。製作コストの削減や組み間違え防止など、いろいろなことが考慮された設計だと感心しました。
残念ながら筆者の予想は外れてしまいましたが、今回は予想外の機構に驚きながらも、学ぶことが多くありました。それぞれの部品の役割や設計意図などを考えながら構造を確認するのはとても勉強になりますね。
それでは今回はここまでということで、また次回お会いしましょう! (次回に続く)
筆者プロフィール
久保田昌希
1981年長野県生まれ。大学卒業後、大手住宅メーカーの営業職に就くも退職。その後に就いた派遣コーディネーターの仕事で製造ラインの人員管理などを行い製造業に関わりを持つ。その中でもっと直接モノづくりに関わってみたい、自分で製品を生み出してみたいという思いが強くなり、リーマンショックを機に退職。職業訓練で3D CADや製図、旋盤やマシニングセンターの使い方を学んだ後、現在のプロノハーツに入社。比較的早い段階から3Dプリンタを自由に使える環境に身を置けたため、設計をしてはすぐに社内試作を繰り返し、お客さまからもたくさんのご指導を頂きながら、現在では医療機器からVRゴーグルまでさまざまな製品の開発、試作品の製作を受託。その経験を生かし子供たちに向けた3D CADや3Dプリンタの使い方講座なども行っている。
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