AIの予測根拠と次の行動を自動で提示する金融業務支援サービス:製造ITニュース
富士通は、AIがスコアリング予測をすることで、さまざまな金融業務を支援する「FUJITSU Finplex AIスコアリングプラットフォームサービス EnsemBiz」の提供を開始した。少量のデータで高精度な予測と次に必要な行動を提示する。
富士通は2020年9月16日、AI(人工知能)がスコアリング予測をすることで、さまざまな金融業務を支援する「FUJITSU Finplex AIスコアリングプラットフォームサービス EnsemBiz(Finplex EnsemBiz:フィンプレックス アンサンビズ)」の提供を開始した。
Finplex EnsemBizは、富士通研究所が開発したAI技術「Wide Learning」により、少量のデータで高精度な予測と次に必要な行動を提示する。
同サービスでは、データの網羅的な組み合わせを列挙して分析、予測し、予測結果に強い影響を与えたデータの組み合わせを予測根拠として提示するため、人が理解できて納得しやすい結果を得られる。これにより、従来AI導入の障壁となっていた、AIによる予測や結果の根拠が説明できないという問題を解消する。
また、次にどのような行動を取るべきかについては、これまでデータサイエンティストが予測結果に基づいて分析していた。同サービスでは、予測に用いるデータに行動の項目を入れ、組み合わせと結果を分析することで、AIが次の行動を自動で複数提案する。
これにより、ビジネス上の意思決定を支援し、分析業務などの負荷を低減する。さらに、専門知識を持っていない人も、GUI操作でデータの事前処理が容易にでき、BIツールを用いて予測結果をグラフ表示することでデータを活用できる。
予測には全ての組み合わせから選別した有効なデータを用いるため、AI学習用のデータは、数百件と少量で済む。運用を手軽に開始できるだけでなく、新たな分野にもAIを適用可能になる。
例えば、営業やマーケティングにおける効率的なアプローチ、ローン審査業務の効率化、不正請求などに広く活用でき、これまで人によって差が出ていた業務上の判断の均質化も図れる。
同サービスは、オンプレミス型またはSaaS型で提供され、要望に応じて導入支援にも対応する。販売価格は、一例として基本機能とサポート、レベルアップ対応を含む基本ライセンスが月額60万円(税別)から。富士通は、Finplex EnsemBizで2023年度末までに売上10億円を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「システムズエンジニアリング」と「BOM連携」で進める製造業のデジタル業務改善
デジタル化がどのように製造業の企業活動の変革を導くのかを解説する本連載。第2回は、デジタル技術の活用による業務(オペレーション)改善について、「システムズエンジニアリング」と「部品表/材料表(BOM)連携」という2つの観点から紹介する。 - 実録! 製品設計・開発の業務改善 “成功者”の掟
前回までで設計・開発プロセスの失敗パターンを見てきました。今回は、「じゃあ、どうしたらうまくいくの?」という疑問に答えます。 - 実録! 製品設計・開発の業務改善 “失敗者”のパターン
製品設計・開発環境やプロセスをイマドキに変更したいのに、どうしてもうまくいかない……。その理由はやっぱり……!? - AIと機械学習とディープラーニングは何が違うのか
技術開発の進展により加速度的に進化しているAI(人工知能)。このAIという言葉とともに語られているのが、機械学習やディープラーニングだ。AIと機械学習、そしてディープラーニングの違いとは何なのか。 - 世界を変えるAI技術「ディープラーニング」が製造業にもたらすインパクト
人工知能やディープラーニングといった言葉が注目を集めていますが、それはITの世界だけにとどまるものではなく、製造業においても導入・検討されています。製造業にとって人工知能やディープラーニングがどのようなインパクトをもたらすか、解説します。 - 人工知能は製造現場でどう役に立つのか
人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。