COVID-19でのコミュニケーション減に不安感、テレワークは「課題あり」が約8割:MONOist/EE Times Japan/EDN Japan読者調査(3/3 ページ)
MONOist、EE Times Japan、EDN Japanのアイティメディア製造業向け3媒体は「新型コロナウイルス感染症のモノづくりへの影響に関するアンケート調査」を実施した。調査は2020年6月に続く3度目。前回に引き続き、テレワークを通じた社内外でのコミュニケーションや、業務の変化に関する悩みの声などが多数寄せられた。
オンライン展示会への関心度は高い
なお、オンライン展示会への関心度を尋ねると、「まだ参加したことはないが、参加してみたい」が41.2%で、「参加してみて、良かったと思った」が27.8%だった。全体的にはオンライン展示会の実施、参加への関心が高いということをうかがわせる。一方で、「まだ参加したことはないが、参加したいと思わない」は16.5%で、「参加してみて、不満があった」は14.4%だった。
海外生産拠点への訪問が困難な状況が続く
「今、業務で最も困っていること」を自由記述で尋ねたところ、テレワーク時のコミュニケーションに関する悩みが多く寄せられた。特に多かったのは、Web会議では会話の細かなニュアンスが伝わりにくい、多人数が同時参加するため意見の集約が難しいとする声だ。また、以前であれば業務上の不明点を同僚などに聞いてすぐに解決できたが、それが難しくなっていることを問題視する意見もある。社内SNSなどは導入されているものの、ささいな用件でも相談できずに「1人で悩む時間が増えてしまった」と訴える回答者もいた。雑談など、業務とは直接関係ない社内コミュニケーションが減少していることを実感する人も多い。
社内だけではなく、顧客への訪問や打ち合わせなどの仕方に悩む回答者も複数いた。特に新規顧客への営業活動の実施が難しく、対面での打ち合わせができないことに不自由さを感じるという意見が多かった。
出張制限に課題感を覚えているという声もある。平時と異なり自由に海外渡航ができないため、海外生産拠点への出張や、海外顧客への直接訪問の実施が難しい。これらの制約によって、製品開発が遅延していると訴える声もあった。
この他、設備投資額の削減や、需要減少に伴う製品生産数の減少など、業績悪化に関連する回答も多く見られた。また、テレワーク移行後の人事制度や人事管理手法の不安定さを問題視する回答者もいた。
今回の調査の結果として、テレワークを通じた業務遂行に何らかの課題感を抱える人や、出張制限などによる営業活動の難しさを感じる人が多くいるということが、改めて判明した。こうした傾向は約3カ月前に実施した、前回調査時の結果と大きく変わらない。部門や職種に応じて、テレワークなどの最適な実施手法は異なってくる。社内外でのコミュニケーション量や質の向上に関する試行錯誤は、今後も継続的に取り組む必要がありそうだ。
また、事業状況が平常時の水準にまで回復していないとする回答者の割合も多いままだ。多くの企業が製品生産量を削減する他、原材料や部品の調達先変更で対応を図っている。しかし、COVID-19の感染状況は日々変化しており、企業業績に与える影響について長期的な見通しを立てることは難しい。海外ではCOVID-19の感染再拡大を懸念する声もある。依然として、COVID-19を巡る社会状況を注視し続けなければならない状況は続くだろう。
一方で大手企業による最近の決算発表では、大幅な損失は出たものの、COVID-19による影響を「想定の範囲内」に抑え込んだとする内容や、顧客需要が回復基調にあると指摘する内容も多く見られた。
例えば東芝は、2020年4月末には30%程度に低下した製造拠点の稼働率を、同年7月末には96%にまで回復を遂げたと発表している。また、トヨタ自動車では2021年3月期第1四半期におけるトヨタブランドとレクサスブランドの販売台数について、当社の販売台数見通しを上回って着地したと発表した。この他、ソニーではエレクトロニクス関連事業は赤字転落し、通期業績見通しは減益としたものの、巣ごもり需要によってゲーム関連事業は好調に推移しているという。
MONOistでは今後も、COVID-19が製造業に及ぼす影響力や、新たに生まれた課題、その解決策のヒントとなり得るような情報を随時発信していく。
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