図研がNo Magicの元CTOをヘッドハンティング、MBSEへの取り組みを強化:製造ITニュース
図研は、北米の事業開発責任者として、MBSE(モデルベースシステムズエンジニアリング)関連ツールの大手ベンダーである米国のNo Magicで長年CTOを務めたエンリケ・クライマルニック氏が就任したと発表した。
図研は2020年9月3日、北米の事業開発責任者にエンリケ・クライマルニック(Enrique Krajmalnik)氏が就任したと発表した。
クライマルニック氏は、航空宇宙業界や自動車業界などで採用が拡大しているMBSE(モデルベースシステムズエンジニアリング)関連ツールの大手ベンダーである米国のNo Magicで長年CTOを務めたことで知られている。また、システムズエンジニアリングの国際組織であるINCOSE(The International Council on Systems Engineering)やOMG(The Object Management Group)などで、幅広い分野への適用・実践やモデリング言語の標準化に取り組み、MBSEの普及に貢献してきた経歴を持つ。
一方、図研は、同社製ツールが広く浸透する電気電子(E/E)システムの設計開発プロセスにシステムズエンジニアリングを導入すべく事業展開を強化中だ。2019年2月には、MBSEのツールを展開する米国ベンチャーのVitechを買収しており、今回のクライマルニック氏の人事も強化策の一環となる。
なお、No Magicは2018年6月に製造ITツール大手のダッソー・システムズに買収されている。2017年10月にダッソーが買収を発表する以前のNo Magicは、図研やPLMベンダーのArasなどと連携する体制を構築していた。そういった連携体制をよく知るクライマルニック氏が図研の北米の事業開発責任者となることで、今後の図研のMBSE関連事業の展開が大きく進展する可能性がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- MBSEに注力する図研、エレキの回路設計者は「ドメイン」を越えられるか
エレクトロニクス分野の製造ITツールの大手として知られる図研が、より複雑なシステムの設計に有効なMBSE(Model Based Systems Engineering)に注力している。同社の主要顧客である“エレキの回路設計者”が、設計プロセスの上流やメカ、ソフトなどと「ドメイン」を越えた連携を行えるようにするためだ。 - 日本の自動車メーカーはMBSEにどう取り組むべきか、ドイツの権威が提言
モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)の権威である、ドイツ・カイザースラウテルン工科大学教授のマーティン・アイグナー氏が来日。欧米の自動車メーカーと比べてMBSEへの取り組みが遅れている日本の自動車メーカーのエンジニアにMBSEの有用性を説いた。 - MBSEは自動車業界と航空宇宙業界の切磋琢磨で進化する
複雑化する製品の設計開発をより効率的に行える手法として注目されているモデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)だが、その導入で先行してきたのが航空宇宙業界だ。現在MBSEの導入を始めつつある自動車業界は後発になる。しかし今後は、自動車業界と航空宇宙業界、双方の知見の融合のよってMBSEが進化していくことになりそうだ。 - 「システムズエンジニアリング」の正しい理解がISO26262対応に役立つ
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科 准教授の白坂成功氏は、宇宙機「こうのとり」のシステム設計に携わる中で学んだ「システムズエンジニアリング」を広めるべく大学で教べんをとっている。白坂氏に、宇宙機の安全設計や、ISO 26262などの機能安全規格のベースになっているシステムズエンジニアリングについて聞いた。 - 協業を加速する図研、狙いは協調設計とデータ管理の一元化
図研は、プライベートイベント「Zuken Innovation World 2018」(2018年10月18〜19日、横浜ベイホテル東急)を開催し、同社製ツールの最新機能や採用事例などを多数披露。同イベント2日目となる10月19日、同社常務取締役 EDA事業部長の仮屋和浩氏が「図研EDA/PLMのビジョンとロードマップ」をテーマに講演を行った。 - ERP−PLM−CAD連携の「悲しい現実」を解決へ、図研が3レイヤー構造を提案
図研のユーザーイベント「Zuken Innovation World 2017 Yokohama」に、同社 常務取締役 EDA事業部長の仮屋和浩氏が登壇。EDAツールを含めたCADとPLM、ERPの連携は多数のカスタムインテグレーションによって構築される「悲しい現実」となっているのが実情だ。同氏は「図研はこの状況を、ERP、PLM、EDMの3レイヤー構造で解決したい」と提案した。