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協業を加速する図研、狙いは協調設計とデータ管理の一元化製造ITニュース(1/2 ページ)

図研は、プライベートイベント「Zuken Innovation World 2018」(2018年10月18〜19日、横浜ベイホテル東急)を開催し、同社製ツールの最新機能や採用事例などを多数披露。同イベント2日目となる10月19日、同社常務取締役 EDA事業部長の仮屋和浩氏が「図研EDA/PLMのビジョンとロードマップ」をテーマに講演を行った。

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図研の仮屋和浩氏

 図研は、プライベートイベント「Zuken Innovation World 2018」(2018年10月18〜19日、横浜ベイホテル東急)を開催し、同社製ツールの最新機能や採用事例などを多数披露。同イベント2日目となる10月19日、同社常務取締役 EDA事業部長の仮屋和浩氏が「図研EDA/PLMのビジョンとロードマップ」をテーマに講演を行った。

 この講演で仮屋氏は、現在の電気設計現場で用いられているツールに相互利用性が欠けており、設計業務の生産性改善、そして製品競争力の向上が困難であることを随所で指摘。そのような状況を解決すべく、同社はベンダーの垣根を超えた設計製造プラットフォームの構築を進めている。

設計と検証の協調プラットフォームへ進化するCR-8000

 図研は、同社が提供するエレクトロニクス設計プラットフォーム「CR-8000」を基板設計に限らず、メカやパッケージ、SiP(System in Package)など多様な設計プロセスと協調するプラットフォームへと進化させつつある。また、システムレベル検証やSPICEを含めたさまざまな検証ツールとの連携を進めることや、新たな設計概念、モノづくり革新への対応を進めていることを紹介した。


CR-8000を中核とした設計検証プラットフォーム(クリックで拡大) 出展:図研

 CR-8000のプラットフォーム化を進めつつあることについて、仮屋氏は「今日の設計現場では、複数の設計工程が並行して動いている。プリント基板の設計だけでなく、チップやMEMSなどの設計やソフトウェア開発も必要な場合が多い」ためだと説明する。

 そして、「CR-8000はただ図面を書くだけのツールではなく、SPICEや熱、HILS(Hardware in the loop simulator)やSILS(Software in the loop simulator)など、設計の後工程につながる情報の核となるプラットフォームとする」(仮屋氏)ために、外部ベンダーとの積極的なアライアンス構築を進めていることを強調した。

 その取り組みの一例として、ANSYSとの連携機能の強化を挙げる。CR-8000前世代製品であるCR-5000でANSYS環境を用いた解析を行う場合では、CR-5000や機械設計用CADなどから物理情報や電気特性を記述した8〜10個程度のデータファイルを出力し、ANSYSに対応する形式へ変換する必要があるなど、解析前に準備工程が非常に煩雑だったという。

 「A4サイズ基板のエレキとメカを合わせた解析では、準備段階だけで4日間も必要となり、5日目に初回の解析がようやく始まるというペースがこれまで一般的だった。ツールは自動化されているがプロセスは自動化されていない。この実態をEDAと呼んでよかったのか」(仮屋氏)

 この課題を解決するため、CR-8000では電気と機械の設計データを集約するとともにデータ変換を不要とした。これにより、「ワンストップで解析できる環境が整い、1日に4〜5回ほど解析を実行できるようになった」という。また、仮屋氏は今後の改良点についても触れ、「現在は解析結果をANSYSのUIで確認しているが、今後はCAD上で解析結果をチェックできるようにする。2019年〜2020年にかけて段階的にリリースする予定だ」としている。

左:従来の設計解析環境における連携 右:2019年〜2020年でリリースされるCR-8000を用いた設計解析環境の連携(クリックで拡大)

 また、Synopsysとの協業も強化し、同社の自動配線ツール「IC Compiler II」「Custom Compiler」への連携機能も今後追加を予定し、Cadence Design Systems製品のデータ読み込み機能も検討を進めているという。これにより、SoC(System on Chip)、パッケージ、プリント基板と各CAD間における相互連携を実現するSiPデバイス協調設計プラットフォームとしてもCR-8000の開発を進める方針だ。


SiPデバイス協調設計プラットフォームとしてのCR-8000(クリックで拡大) 出展:図研

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