工場向けと機械向けにIoTをまとめて提供、低コスト化で普及の壁を破る:FAニュース
インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は2020年8月31日、産業用IoT(モノのインターネット)の普及拡大に向け、ゲートウェイ機器からネットワーク、IoT基盤、クラウドアプリケーションまでを1つのパッケージにして提供する包括的ソリューション「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」と「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory」を提供開始したと発表した。
インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は2020年8月31日、産業用IoT(モノのインターネット)の普及拡大に向け、ゲートウェイ機器からネットワーク、IoT基盤、クラウドアプリケーションまでを1つのパッケージにして提供する包括的ソリューション「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」と「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory」の提供を開始したと発表した。
産業用IoT普及の障壁
製造業のデジタル化は広がりを見せているが、ノウハウ不足やIT人材の不足、導入コストなどの問題が障壁となり、普及が広がらない状況が生まれている。経済産業省などが発行している「2020年版 ものづくり白書」によると、約40%が「可能であれば実施したい」としており約10%が「実施する計画がある」としているが、ここ4年間ほぼこれらの比率は変わっていない。一方で、デジタル導入の課題としては「デジタル技術導入にかかるノウハウの不足」「デジタル技術の活用にあたって先導的役割を果たすことができる人材の不足」「デジタル技術導入にかかる予算の不足」などが上位に挙げられている。そのため導入をより簡単にIT人材なしに実現するということが産業用IoT普及の大きなポイントだといえる。
これらの解決を目指し、IIJでは2019年8月に台湾のAdvantech(アドバンテック)と協業を発表。アドバンテックがグローバルで提供する産業分野向けIoTプラットフォーム「WISE-PaaS」とIIJのネットワークとクラウドサービスを組み込んだ「WISE-PaaS IIJ Japan-East」の展開を開始している。
さらに今回はこのWISE-PaaS IIJ Japan-Eastに、アドバンテックが提供するIoTエッジデバイス、IIJの閉域ネットワークやデバイス管理機能などを組み合わせてデバイスからクラウドまでを一貫して提供できるようにした。用途に合わせて「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」と「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory」の2種類の製品を展開する。
「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」は機械メーカー向けの導入を想定している。機械メーカーが自社の機械に設置したIoTゲートウェイからIIJの閉域ネットワークを通じて、稼働情報などを収集し、WISE-PaaS IIJ Japan-Eastなどを経由して、遠隔保守などに活用する用途を想定する。
「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory」は、工場を持つ製造業での利用をターゲットとしており、自社工場内の機器や設備にIoTゲートウェイを設置し、IIJのネットワークを通じてWISE-PaaS IIJ Japan-Eastのさまざまなダッシュボードなどのアプリを活用して管理する使い方を想定しているという。
IIJ IoTビジネス事業部長 岡田晋介氏は「アドバンテックとの協業でクラウドシステムの開発を進めてきたが、現在はパイロットユーザーが数社使用し始めた段階だ。WISE-PaaS IIJ Japan-EastはPaaS(Platform as a Service)であるため、サービスとして利用するためにはアプリケーションの開発が必要になる。IIJとしてはパートナーなどを募り、PaaSとしての提供を広げるとともに、アプリケーションの開発も進め、これらを組み合わせたソリューション提案なども進めていく。ワンパッケージで提供することで開発期間を短期化し低コストで実現可能となる」と語っている。
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