新型コロナへの不活化効果も確認、有人環境で使用可能な殺菌用紫外線ユニット:医療機器ニュース(2/2 ページ)
ウシオ電機は2020年9月1日、有人環境下でも使用可能な波長域の紫外線を用いるウイルス不活化/殺菌技術を搭載した「Care222 U3ユニット」を発売する予定だ。同技術は細菌への殺菌効果の他、新型コロナウイルスをはじめとするウイルスも不活化効果を持つことが確認されている。
東芝ライテックとの提携で施設や自動車への市場展開を狙う
Care222 U3ユニットの今後の市場展開について、ウシオ電機 代表取締役社長の内藤宏治氏は「UV殺菌装置市場は2020年には29億米ドル(約30.9兆円)だが、2025年には53億米ドル(約56.5兆円)規模に成長すると予測している。これまでも当社は同市場での事業展開を進めてきたが、装置導入に関する問い合わせは年間で100件程度にすぎなかった。しかし現在は状況が変わった。2020年3月から半年間で、2000件を超える問い合わせをいただいている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により市場環境が見通しにくい状況ではあるが、まずは、照明機器や空調設備へのOEM(Original Equipment Manufacturing)展開を進め、その後、2022年以降は電車などの公共交通機関や自動車、航空機など、そして2025年以降は治療機器や除染機器、感染予防機器などへ段階的にCare222の技術を広めていく計画だ」と説明した。
また、こうした市場展開を効果的に推進するために、ウシオ電機は東芝ライテックとの協業体制を構築することを決めた。自動車や鉄道車両向けのウイルス不活化/殺菌装置を共同開発する他、Care222 U3ユニットに搭載する「Care222 光源モジュール」を用いて、照明器具などと組み合わせたウイルス不活化/殺菌機能を有する新製品を東芝ライテックが開発、販売する予定だという。
東芝ライテック 代表取締役社長の平岡敏行氏は「当社は施設向けの非常用照明で国内市場シェア2位、自動車用の小型電球ではグローバル市場シェア1位のポジションを確立している。こうした立ち位置を基に、Care222 光源モジュールを使った新商品を展開することで、公共/商用施設や自動車市場でのウイルス不活化/殺菌ニーズに応えていけると考えている。具体的にどのような新製品を開発するかはまだ不確定だが、あくまで構想であるものの、公共施設などに向けた天井埋め込み型のUV装置や、ドローンに搭載することで自動的にウイルス不活化/殺菌を行う『UVライティングドローン』などを仕上がりとしてイメージしている」と説明した。
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