富士レビオが新型コロナ抗原検査キットの生産能力を半年で倍増、日立と東芝が協力:工場ニュース
みらかホールディングス傘下の富士レビオは、新型コロナウイルスの抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」の新たな生産拠点として、北海道旭川市に旭川工場(仮称)を新設する。2020年12月までの稼働開始を目指しており、約半年間という短期間での工場立ち上げを日立グループと東芝グループが支援する。
みらかホールディングス傘下の富士レビオは2020年6月5日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」の新たな生産拠点として、北海道旭川市に旭川工場(仮称)を新設すると発表した。2020年12月までの稼働開始を目指しており、約半年間という短期間での工場立ち上げを日立グループと東芝グループが支援する。新工場の稼働により、エスプラインSARS-CoV-2の生産能力は、富士レビオの宇部工場(山口県宇部市)で生産している週20万テストを含めて、週40万テスト以上に倍増する。
富士レビオのエスプラインSARS-CoV-2は2020年5月13日に政府からの製造販売承認を取得しており、既に臨床の現場で使用されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査体制の拡充に役立つことから、今後も需要が拡大する見込みであり、早急な生産能力の拡大が求められていた。
新設する旭川工場は、東芝傘下で電子部品の製造と販売を手掛ける東芝ホクト電子の旭川工場の建屋内に建設される計画だ。同工場は医療用DNAチップや遺伝子解析装置などの医療関連部品を製造しており、その実績を生かしてエスプラインSARS-CoV-2の生産ラインを新たに構築する。東芝グループとしても同キットの安定的な生産を支えていくことになる。一方、日立グループは、生産ラインへの製造設備の導入に当たって、製造プロセスおよび製造設備構築のコンサルティングや付帯設備のエンジニアリング業務などを提供し、安定的かつ効率的な供給体制の構築に寄与するという。
新工場の建設によって、富士レビオは短期間で生産能力を倍増するとともに、生産工場を2拠点とすることにより供給安定化も図れる。なお、新工場建設の投資金額は非公開としている。
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