新型コロナへの不活化効果も確認、有人環境で使用可能な殺菌用紫外線ユニット:医療機器ニュース(1/2 ページ)
ウシオ電機は2020年9月1日、有人環境下でも使用可能な波長域の紫外線を用いるウイルス不活化/殺菌技術を搭載した「Care222 U3ユニット」を発売する予定だ。同技術は細菌への殺菌効果の他、新型コロナウイルスをはじめとするウイルスも不活化効果を持つことが確認されている。
ウシオ電機は2020年8月26日、有人環境下でも使用可能な波長域の紫外線を用いるウイルス不活化/殺菌技術を搭載した「Care222 U3ユニット」を同年9月1日に発売すると発表した。同技術は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対しても不活化効果を持つことが確認されている。定価は30万円(税別)。また、会見では、東芝ライテックと業務提携を締結して、公共施設や公共交通機関などを対象としたウイルス不活化/殺菌装置を共同開発することも明らかにした。
人体への安全性が確認された222nmの紫外線を採用
Care222 U3ユニットのサイズは長さ205×幅150×高さ50mmで、重量は1kg。入力電源はDC5V/0.5Aで、消費電力は15Wである。動作温度は5〜40度。紫外線を放射するランプ部分の耐久時間は約3000時間だが、人感センサーなどと組み合わせることで1年以上使用することも可能だ。ユニットのランプ位置正面から0.5mの照射距離であれば20秒、1.5mであれば2.4分、2.5mであれば6.7分で照射範囲内のウイルスの99%を不活化できるという。
紫外線が持つウイルスの不活化効果や殺菌効果は以前から広く知られており、その性質を利用したウイルス抑制/除菌装置自体は既に広く実用化されている。ウイルスや細菌のDNA/RNAに直接ダメージを与えるため、薬剤による除菌と違い耐性菌を生み出す心配がない。しかし、既存の装置が用いるのは254nmの波長を持つ紫外線であり、人体に照射すると皮膚がんや白内障を発症する恐れがあり危険だ。このため、有人環境でのウイルス不活化/殺菌手段として採用することは難しかった。
一方で、Care222 U3ユニットに搭載したウイルス不活化/殺菌技術「Care222」は、人体に安全とされる200〜230nmの波長域の紫外線を用いる。この波長域の紫外線は、皮膚の角質や角膜の表面から深部に到達しないため、安全にウイルスの不活化/殺菌を行うことが可能だ。人間の皮膚への照射を行う臨床試験などを通じて生体への安全性も確認済みで、有人環境下での使用にも適する。技術的な仕組みとしては、222nmを主波長とする単色紫外線を放出するエキシマランプに、特殊な光学バンドパスフィルターを組み合わせており、これにより人体に有害な230nm以上の波長を持つ紫外線の放出を防いでいる。
現時点で222nmの紫外線は、ヒトコロナウイルスなどのウイルス類の他、大腸菌O-157やネズミチフス菌などの細菌類にも不活化/殺菌効果をもたらすことが判明している。またSARS-CoV-2への不活化効果も確認済みで、そのことを明らかにした論文が近日中に公開される予定だ。なお、222nmの波長の紫外線は、ウイルス不活化や殺菌効果自体も254nmの紫外線より高いことも確認したという。
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