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日機装、次世代航空機エンジンでエアバスの共同開発パートナーに選出材料技術

日機装は、低燃費、低騒音を実現する次世代型航空機エンジン「UltraFan」開発プロジェクトにおいてナセル供給を担当するエアバスの共同開発パートナーに選出された。

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 日機装は2020年8月14日、低燃費、低騒音を実現する次世代型航空機エンジン「UltraFan」開発プロジェクトにおいてナセル(※1)供給を担当するAirbus(エアバス)の共同開発パートナーに選出されたことを発表した。

※1:ナセルとは、航空機のエンジン、燃料または搭載機器を保持するための筐体のこと。

 UltraFanは、Rolls-Royce(ロールス・ロイス)が開発を進める、ナローボディー機(単通路機)とワイドボディー機(双通路機)の双方に搭載可能な次世代型航空機エンジン。複合材を採用したファンブレードやファンケースにより、エンジン重量を大幅に削減することで、25年前にロールス・ロイスが開発した初代「Trent」エンジンと比較して、25%の燃費向上を図ろうとしている。エアバスは、UltraFan開発プロジェクトにおいてナセル供給を担当しており、ナセルの構成部品である「Outer Ring」の共同開発パートナーとして日機装を選出した。

エアバスは、ナセルの構成部品である「Outer Ring」の共同開発パートナーとして日機装を選出した
エアバスは、ナセルの構成部品である「Outer Ring」の共同開発パートナーとして日機装を選出した ※出典:日機装 [クリックで拡大]

Outer Ringの開発を支える新技術と新素材

 日機装はOuter Ringの開発において、新技術と新素材の活用を進める。

 新技術では、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製ナセル部品の成形について、これまで用いてきた成形に時間のかかるオートクレーブに代わる硬化手法を採用する。これにより、短時間で効率的に樹脂を硬化させることが可能となり、成形時間を約40%削減し、運転効率を約20%改善できたという。

実証用の「UltraFan」エンジンに搭載されるカーボンチタンファンブレード
実証用の「UltraFan」エンジンに搭載されるカーボンチタンファンブレード ※出典:ロールス・ロイス [クリックで拡大]

 一方、新素材については、加圧後の硬化時間が従来の樹脂と比べ、80%短い速硬化性樹脂の開発を材料メーカーと共同で進めており、前述の新たな硬化手法と組み合わせることで、製造時間の短縮が図れるとしている。

 日機装は、これら新技術/新素材を活用して完成させたOuter Ringの試作品を、2021年第1四半期(1〜3月)内にエアバスへ納入する予定で、2021年に実施される量産機への適用を視野に入れた地上試験において、UltraFanに搭載される計画だという。

 今回のOuter Ring開発は、日機装にとって初めてとなるエアバスとの直接共同開発、製品納入を行うプロジェクトであり、今後エアバスとの関係をさらに強化していく上で極めて重要な取り組みであるとしている。

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