スパコン活用で航空機用CFRP開発を加速するMIシステムの研究開発を開始:材料技術
NECと東北大学は、スーパーコンピュータを活用し、航空機用の炭素繊維強化プラスチックの開発を加速するマテリアルズインテグレーションシステムの研究開発を開始した。航空機用複合材料の開発、製造コスト、期間を従来比50%以下に低減する。
次世代航空機用複合材料の開発、コスト、期間を従来比50%以下に
NECは2020年7月1日、東北大学と共同で、スーパーコンピュータを活用し、航空機用の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の開発を加速するマテリアルズインテグレーション(MI)システムの研究開発を開始したと発表した。次世代航空機用複合材料の開発、製造コスト、期間を従来比50%以下に低減し、国際競争力の強化を目指す。
同研究は、内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」の研究開発課題「多機能CFRPの開発による高付加価値化」として実施する。東北大学が中心となって開発した航空機用複合材料、構造のシミュレーション技術とスーパーコンピュータの高速化技術、NECのベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を利用し、デジタル上で航空機用CFRPの材料開発ができる統合型システムを開発する。
具体的には、まず、分子スケールの材料特性から、巡航時の機体に生じる力学応答までを解析するシミュレーションをスーパーコンピュータ上に実装する。これにより、高速かつマルチスケールに、材料選択から機体設計までを実施できる。同システムを共通プラットフォームとして利用することで、機体メーカーからの要望に適した材料開発も期待される。
研究開発では、東北大学大学院工学研究科が、同システムに実装する各種の材料、構造シミュレーションを開発。同大学大学院情報科学研究科が、MIシステム向けに開発したシミュレーションプログラムに、ベクトル型スーパーコンピュータ高速化技術を適用する。また、システム構築には、NECのスーパーコンピュータの利用技術とシステム構築ノウハウを利用。SX-Aurora TSUBASAに開発したシミュレーションプログラムを実装し、システム化する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ミズノ史上最高の反発性を実現した新素材は用具開発のノウハウから生まれた
ミズノは、オンラインプレスカンファレンスを開催し、「ミズノ史上最高」をうたう優れた反発性を実現した新素材「MIZUNO ENERZY(ミズノエナジー)」と、同素材を使用した2つの新シューズを発表した。 - 塗装なしで漆黒を再現する高機能バイオ素材、クラファンでスマホケースも
NECプラットフォームズは、海洋プラスチックごみなどの環境問題の解決に貢献する高機能バイオ素材「NeCycle」の販売開始を発表した。当面は、高付加価値、環境性が求められる製品向けに展開をスタートし、事業規模を拡大。2025年度に年間50億円の売上高を目指す。 - 三菱マテリアルとNIMSが情報統合型材料開発システム構築に向け開発センター設立
三菱マテリアル(MMC)と物質・材料研究機構(NIMS)は、「NIMS-三菱マテリアル情報統合型材料開発センター」設立に関する覚書を締結した。 - 2020年のCNF世界生産量は57t程度、出荷金額は68億4000万円と予測
矢野経済研究所は、2020年のセルロースナノファイバー世界市場に関する調査結果を発表した。2020年のCNF世界生産量は57t程度、出荷金額は68億4000万円を見込んでいる。 - 構造材料のデータシートの2019年度分を公開
物質・材料研究機構は、「構造材料データシート」2019年度分を5冊のデータシートとして2020年3月31日付けで発行した。ステンレス鋼、アルミニウム合金の疲労試験結果を収めた疲労データシートなどを公開している。 - 日本製鉄の意匠性チタンが富士フイルムのミラーレスデジカメ「X-Pro3」に採用
日本製鉄は、富士フイルムのミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-Pro3」のボディー外装に、同社の意匠性チタン「TranTixxii(トランティクシー)」が初めて採用されたことを発表した。