ルノーが生産デジタル基盤でグーグルクラウドと提携、インダストリー4.0を加速:製造IT導入事例
ルノーグループ(Groupe Renault、以下ルノー)は2020年7月9日(現地時間)、産業システムのデジタル化とインダストリー4.0による変革の加速に向けてとグーグルクラウド(Google Cloud)と提携すると発表した。
ルノーグループ(Groupe Renault、以下ルノー)は2020年7月9日(現地時間)、産業システムのデジタル化とインダストリー4.0による変革の加速に向けてとグーグルクラウド(Google Cloud)と提携すると発表した。
ルノーは2016年から、生産設備とサプライチェーンに関わるデジタルプラットフォームを独自に開発している。同プラットフォームにより、同社の自動車生産のうち76%を占める世界の22拠点と2500台以上の機械からさまざまなデータを収集、蓄積してきた。今回のグーグルクラウドとの提携は、ルノーが100%出資した子会社によって独立運営することになる同プラットフォームの最適化を目的としている。
グーグルクラウドがクラウド基盤「Google Cloud Platform(GCP)」などで展開する、スマートアナリティクスや機械学習、AI(人工知能)の領域におけるソリューションや経験により、ルノーのサプライチェーンや生産効率の向上、品質改善、省エネによる環境負荷の低減などが可能になるとしている。
また、ルノー従業員のデジタルスキルなどを向上するトレーニングも提携の重要な目的の1つになっている。同社のプロセスエンジニアリング、製造、ITチームのスキルを向上させるユニークで拡張性のあるプログラムを構築するとともに、意思決定プロセスと関わるデータ駆動型の企業文化の醸成を図りたい考えだ。
ルノー 製造・物流部門 ディレクターのホセ・ビセンテ・デ・ロス・モゾス(Jose Vicente de los Mozos)氏は、グーグルクラウドとの提携について「当社の卓越性や能力の水準を向上させるため、世界中の生産現場と物流プロセスを変革し、接続することを目的とした“インダストリー4.0”の計画の展開を加速させられる」と強調する。グーグルクラウド CEOのトマス・キュリアン(Thomas Kurian)氏も「自動車製造の未来に革命を起こすとともに、次世代の卓越したサプライチェーンの実現に貢献できることを誇りに思う」と述べている。
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