VWがグループの生産拠点のデータをクラウドに、2020年内に15カ所で:工場ニュース
Volkswagen(VW)は2020年4月29日(現地時間)、2020年末までにVWグループの15カ所の生産拠点を同社の「インダストリアルクラウド」に統合すると発表した。インダストリアルクラウドの活用は、2025年までに工場の生産性を2016年比で30%改善する目標の達成に向けた重要な手段となる。
Volkswagen(VW)は2020年4月29日(現地時間)、2020年末までにVWグループの15カ所の生産拠点を同社の「インダストリアルクラウド」に統合すると発表した。インダストリアルクラウドの活用は、2025年までに工場の生産性を2016年比で30%改善する目標の達成に向けた重要な手段となる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって稼働を停止している間にも統合プロジェクトを進めてきた。現在、220人でプロジェクトに取り組んでいるが、2020年末までに部門を500人に増員する。
インダストリアルクラウドでは、工場に設置されている機械や装置のデータをセンサーで記録し、クラウド上の標準化されたアプリケーションによって分析する。その結果を生産設備の予測的なメンテナンスや、車両生産のやり直し削減などに生かす。それぞれの機械や装置、システムは手動で接続されており、年式の古い機械の一部にはセンサーの取り付けから行う。インダストリアルクラウドはAWS上に構築されており、シーメンスが統合パートナーとなっている。生産プロセスだけでなく、物流プロセスの分析も行う。
最初のステップでは15の分析アプリケーションを定義し、標準化されたアプリとして全ての工場で利用できるようにする。この15のアプリケーションを実用化するだけで、2025年末までに2億ユーロ(約230億円)のコスト削減効果が見込まれるという。最終的に、VWグループの124カ所の全てのデータを標準化された方法で評価できるようになると、合計で数十億ユーロのコスト削減が実現できる見通しだ。
2019年は、VWの乗用車ブランドの生産拠点であるのケムニッツ、ウォルフスブルグ、ポルコビツェ(ポーランド)の3カ所をインダストリアルクラウドに連携した。2020年はブランドの枠を超えて、アウディ、セアト、シュコダ、VWの商用車ブランド、ポルシェ、サプライヤーのフォルクスワーゲングループコンポーネンツの各工場から15工場をインダストリアルクラウドに接続する。インダストリアルクラウドのソリューションやアプリケーションは、VWグループ以外の企業でも利用したり開発作業に参加したりできる。また、利用は自動車に限定しない。
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