アウディが新車の生産プロセスをVRで検証、ドイツとメキシコのやりとりにも活用:VRニュース
Audi(アウディ)は2019年7月19日、電気自動車(EV)「e-tron GT」を生産するネッカーズルム工場のにおいて、組み立てプロセスと関連する物流プロセスの検証を全てVR(仮想現実)上で行ったと発表した。VR活用により拠点を超えたコラボレーションが容易になり、リソースの節約も達成できたとしている。生産設備や建屋まで3次元スキャンすることが生産ラインのVR化の基盤になったという。
Audi(アウディ)は2019年7月19日、電気自動車(EV)「e-tron GT」を生産するネッカーズルム工場のにおいて、組み立てプロセスと関連する物流プロセスの検証を全てVR(仮想現実)上で行ったと発表した。VR活用により拠点を超えたコラボレーションが容易になり、リソースの節約も達成できたとしている。生産設備や建屋まで3次元スキャンすることが生産ラインのVR化の基盤になったという。
これは「3P workshops」という生産プロセスを検証するプロジェクトでの取り組みだ。3Pは生産準備プロセス(Production Preparation Process)の略。ネッカーズルム工場やインゴルシュタット工場の組み立て計画部門、新しい生産技術の導入を支援するAudi Production Labの共同作業によってプロジェクトが進められた。プロジェクトのVRソフトウェアはProduction Labで開発した。
3P workshopsの取り組みでは、部品の物流や組み立て、品質保証といった複数の部門の担当者がヘッドセットを装着してVR空間で一堂に会し、全ての作業工程を対象に、人間工学的に正しいか、ツールトレイの位置は適切かといった生産プロセスの実行可能性を確かめた。これまでこうした生産プロセスの検証は実際にラインを作りながら行っていたが、e-tron GTの組み立てラインはVolkswagen(VW)グループで初めて生産ラインの検証を全てVR上で行った事例となる。
アウディの生産ラインでのVR活用は、360度スキャンが重要な要素となっている。設備を含め生産拠点の建屋全体がカスタムソフトウェアとハードウェアによって3次元でスキャンされている。ミュンヘンのスタートアップ企業と協力して、生産設備のバーチャルコピーを作り上げた。精度はコックピットの取り付けのような例でも数mm単位だという。この精度を基に生産プロセスが計画され、作業サイクルや設備が決められた。
生産拠点の設備や内部をスキャンした際に点群データが生成されており、これを利用して生産ラインをVR上で再構築することも可能だ。レイアウトや計画システムに関する変更もVR上で更新することができる。
VR活用は、さまざまな拠点の技術者が参加する効果的なコラボレーションを促進したとしている。拠点間の協力を促進すると同時に、出張や移動が減ることでリソースの節約にもつながった。現在、メキシコ工場とインゴルシュタット工場の連携にもVRを使用しているという。この取り組みはVWグループ全体に展開する可能性もあるとしている。
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