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設計者はどんな視点で設計者CAEを進めていくべきか【ケース1完結編:メッシュを知る】実例で学ぶステップアップ設計者CAE(2)(3/3 ページ)

初心者を対象に、ステップアップで「設計者CAE」の実践的なアプローチを学ぶ連載。詳細設計過程における解析事例を題材に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するかについて、流れに沿って解説する。第2回は、前回の解析ケースの完結編として、非常に奥の深い「メッシュ作成」の世界について掘り下げる。

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今回のまとめ

 ここまでケース1の解析をテーマに、

  1. メッシュサイズ(ソリッド要素)
  2. メッシュタイプ(ソリッド要素・梁要素)
  3. 応力
  4. 応力特異点
  5. 固有値(固有振動数)

について解説してきましたが、解析初心者の設計者の方々には少し難しかったかもしれません。特にメッシュサイズについては、解析対象に適したメッシュ(要素)サイズというものがあるわけですが、これについてはさらなる理解と経験が必要だといえます。それほどプリ処理部のメッシュ作成の世界は奥が深いのです。

 ミッドレンジのCAEツールでは、四面体のメッシュが使用されます。ハイエンドのCAEツールでは四面体の他に、六面体のメッシュなども使用されます。有限要素法(FEM)では、前述のように、解析対象を要素に分割します。その際、メッシュの品質の1つが「アスペクト比」と呼ばれるものです。今回のソリッドメッシュについても、SOLIDWORKS Simulationでは、次のようにメッシュ詳細情報やメッシュ特性プロットを作成できます(図12図13)。

図12 ソリッドメッシュにおけるアスペクト比(メッシュ詳細)
図12 ソリッドメッシュにおけるアスペクト比(メッシュ詳細) [クリックで拡大]
図13 メッシュ特性プロット
図13 メッシュ特性プロット [クリックで拡大]
図14 アスペクト比
図14 アスペクト比 [クリックで拡大]
図15 要素サイズとアスペクト比
図15 要素サイズとアスペクト比 [クリックで拡大]

 理想的なアスペクト比については図14に示した通りですが、メッシュサイズとアスペクト比の関係は、解析対象となるモデル形状にも依存するものなので、「このメッシュサイズならアスペクト比は問題ない」と定義できません。また、直接的にアスペクト比を設定、制御することもできません。そのため、CAEの設定では、メッシュサイズをコントロールすることによってのみ、アスペクト比を結果的に制御するしかありせん。このことから「理論的には“メッシュサイズを細かくしていくと、アスペクト比が改善される”という関係が成り立つ」というしかないと、筆者は考えます。

 優れた解析技術者の皆さんは、メッシュを見ただけで「良いメッシュ/悪いメッシュ」を判断できるそうです。筆者はまだその域に達していないまでも、「正三角形に近いメッシュはバランス的に良さそうだな」とおおよその判断はできていると思っています。皆さんはいかがでしょうか。さて、次回は「熱伝導」について解説します。お楽しみに! (次回に続く

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Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダー・事務局も務める。


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