ニュース
高速振動する人工筋肉を利用したスピーカーを開発:組み込み開発ニュース
芝浦工業大学は、人工筋肉を使ったスピーカーを開発した。球状や半球状に成形した誘電エラストマーアクチュエーターが高速振動し、スピーカーから全方位に音を伝達する。
芝浦工業大学は2020年5月14日、人工筋肉を使ったスピーカーを開発した。球状や半球状に成形した誘電エラストマーアクチュエーター(DEA:Dielectric Elastomer Actuator)が高速振動し、スピーカーから全方位に音を伝達する。
DEAは、高分子誘電膜を柔軟電極で挟んだ構造で、印加すると電位差により電極同士が静電気力によって互いに引き合い、電圧がオフになると元の形状に戻る。軽量で柔軟、素材の体積変化もほぼないことから、人工筋肉や環境発電デバイス、ソフトロボットなどへの応用が期待されている。
同大学工学部 教授の細矢直基氏は、アクリルやシリコンゴムをカーボンブラックで挟んだDEAを、球形、または半球形にしたスピーカーを作製。人工筋肉ではゆっくり動かすDEAを、1秒間に最大1万6000回(16kHz)の速さで振動させ、人が聞ける音域ではほぼ無指向で、スピーカーを中心とした全方位に音が届くことを確認した。
スピーカーの形状に制約はなく、わずか数gの軽量なスピーカーが作製できることから、従来設置が困難な場所や条件にも取り付け可能で、ステージレイアウトに柔軟性が生まれる。また、コンサートホールなど室内の音響試験に必要な点音源としても利用可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソニーが「発明」した新しい音体験、「ウェアラブルネックスピーカー」の秘密
ここ最近注目を集めている「ネックスピーカー」というオーディオの新ジャンルを生み出したのが、2017年10月発売のソニーのウェアラブルネックスピーカー「SRS-WS1」だ。今回は、このSRS-WS1の開発に関わったメンバーに話を聞いた。 - 振動で音を発生する加振器のラインアップを強化、オンキョーが新分野へ市場拡大
オンキョーは、スピーカー技術を応用し、振動で音を発生する加振器「Vibtone」のラインアップを強化した。超小型タイプから薄型、ハイパワー、高耐衝撃タイプまでをそろえ、携帯電話、家電、車載用などの新分野へ市場拡大を図る。 - クジラのヒレ構造をスピーカーのダクトに応用、バイオミメティクス技術の第2弾
オンキヨーは、クジラのヒレの構造から着想を得た低ノイズ高能率「ボルテックスジェネレーターダクト」の開発に成功したことを発表した。 - クルマのスピーカーはどこに置けばよく聞こえる? 答えはディスプレイの中!
デンソーテンは「第46回東京モーターショー2019」において、開発中のディスプレイスピーカーを披露した。その名の通り、カーナビゲーションシステムなどのディスプレイがスピーカーになるもので、2021〜2022年ごろの採用に向けて、自動車メーカーへの提案を進めている。 - マレリが排気管に取り付けるスピーカーを提案、官能的な排気音を実現
マレリ(マニエッティ・マレリとカルソニックカンセイの統一ブランド)は「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」(2019年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、エンジン搭載車の排気チューニング音や電気自動車(EV)の接近警報音を再生する「アクティブサウンドデバイス」を紹介した。 - 「次世代ステルス空間」は照明やスピーカーが壁材と一体化、人の自然な行動促す
大日本印刷は、「JAPAN SHOP 2019」内で会見を開き、人の在室状況や会話など、空間内のセンサーで収集した情報に合わせて、壁や天井などの部材自身が部屋の光の色を変えたり、音を発したりするシステム「次世代ステルス空間」を開発したと発表した。