分析機器メーカーが手指除菌用アルコールを自社生産、欧米拠点の社内利用向け:工場ニュース
分析機器大手のアジレントは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって供給が不足している手指除菌用アルコールの生産を行っている。同社の工場やオフィス、物流センターなどでの社内利用分となる。
分析機器大手のアジレント(Agilent Technologies)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって供給が不足している手指除菌用アルコールの生産を行っている。同社の工場やオフィス、物流センターなどでの社内利用分としての生産で、これにより手指除菌用アルコールの外部調達を減らし、一般市場での需給逼迫(ひっぱく)の緩和に貢献するのが狙いだ。
米国のHHS(保健福祉省)とFDA(食品医薬品局)は2020年3月末、医薬品として規制と認可が必要なアルコールを用いる手指除菌剤(ハンドサニタイザー)について、さまざまな企業での製造を可能にする一時的な規制緩和策を発表した。アジレントはこの規制緩和を受けて、米国のフォルサム工場(カリフォルニア州)における、IPA(イソプロピルアルコール)含有比率75%の手指除菌用アルコールの生産に向けた取り組みを開始した。
アジレントはガスクロマトグラフ装置や液体クロマトグラフ装置など、ライフサイエンスや化学分野で用いられる分析機器を製造しているが、併せて必要になるカラムなどの化学品も手掛けている。今回の手指除菌用アルコールの生産では、この化学品生産部門の人員が中核となり、製造、品質、調達、物流など各部門の専門知識を有する社員から成るチームを結成。このチームに、法務や規制関連の部門が協力することで、規制緩和の発表から1週間強でサプライチェーンを構築し、同年4月初旬には手指除菌用アルコールの出荷を始めたという。
また、この米国フォルサム工場での知見を生かし、欧州で化学品を手掛けるオランダ工場でも手指除菌用アルコールの生産を開始した。オランダの他、ドイツやフランスなどの欧州拠点における社内利用分に充てている。
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