スバルの19年度は増収増益、新型レヴォーグは年内導入を宣言:製造マネジメントニュース
SUBARU(スバル)は2020年5月18日、2020年3月期(2019年4月〜2020年3月)の通期決算を発表した。連結売上収益は前期比6.0%増の3兆3441億円、営業利益は同15.7%増の2103億円、当期純利益は同7.9%増の1526億円で増収増益を確保した。
SUBARU(スバル)は2020年5月18日、2020年3月期(2019年4月〜2020年3月)の通期決算を発表した。連結売上収益は前期比6.0%増の3兆3441億円、営業利益は同15.7%増の2103億円、当期純利益は同7.9%増の1526億円で増収増益を確保した。
主力市場である米国での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が強まったのが2020年3月半ばからだったこともあり、業績へのダメージは限定的だった。また、2020年1〜3月期の国内外の売り上げが前年同期よりも好調で、利益面も前年同期から大幅に増えたことも通期での増収増益に寄与した。なお、スバルでは2020年3月期第1四半期(2019年4〜6月)から国際財務報告基準(IFRS)を任意適用している。
2021年3月期(2020年4月〜2021年3月)の業績予想については、COVID-19の影響が見通せないことから未定とした。生産面では日米の生産拠点が5月上旬まで稼働を停止しており、現在は日本が早番のみ、米国もペースダウンしている状況だ。フル稼働が6月中旬以降になると、日米で15万台以上の減産となる見通しだ。
販売面は「米国で感染が広がってまだ2カ月なので、見通しを言う段階ではない。楽観視はできない、2021年初めには正常な状態に戻っていてほしいと願ってはいるが」(スバル 代表取締役社長の中村知美氏)と慎重だが、米国ではオンライン販売が、日本では新型車効果が回復の足掛かりとなりそう。オンライン販売は、ミレニアル世代の購買行動を想定して4年前から導入。米国では6割の販売店が営業活動に制約を受けているが、インターネット上での見積もり依頼は好調で、前期を上回っているという。
次世代投資は継続、新型レヴォーグで国内販売回復へ
2020年3月期の連結販売台数は、日本が前期比7.7%減の12万6000台、米国が同6.4%増の70万1600台、海外合計では同5.0%増の90万8000台となった。世界販売台数の合計は前期比3.3%増の103万4000台だった。米国ではモデル切り替えで「レガシィ」「アウトバック」の販売が減少したが、「フォレスター」「アセント」が好調でプラスとなった。日本はインプレッサの販売減少が響いた。
2020年3月期の営業利益は、IFRSを適用した前期の実績値から286億円増となった。為替の影響や原材料費の増加など減益要因はあったが、海外での販売拡大や販売奨励金(インセンティブ)の改善、研究開発費の減少よって増益を確保した。研究開発費の減少はIFRS適用によるものだ。2020年3月期は、設備投資が前期比10.5%増の1260億円、研究開発支出が同15.6%増の1187億円だった。
2025年度までの中期経営計画には、2018〜2020年度の3カ年の連結収益計画も含まれている。3カ年合計で、売上高が10兆円、営業利益9500億円を計画しており、2018〜2019年度で売上収益6兆5000億円、営業利益3920億円まで進んできた。2021年3月期(2020年度)は連結収益計画の最終年度となるが、「収益上の目標の達成は厳しい」(中村氏)という。ただ、品質改革や企業風土の改革は継続して進めていく方針だ。
次世代技術への投資は、2025年度までの中期経営計画でのモノづくり改革を通じて効率化しながら継続する。これまでにも開発のスリム化やポイントを絞った取り組みを進めており、COVID-19の影響を受けて開発部門のテレワークも進めた。中村氏は「新型コロナをきっかけに、こうした取り組みにドライブがかかってきた。コロナ後も元に戻さない。改善は緩めずにもう一段効率化しながら、やるべきことはやる形を作っていきたい」と述べた。
COVID-19の影響でサプライヤーとの共同開発が遅れているため、商品計画が後ろ倒しになる可能性はあるが、変更は考えていないという。新型車の投入は国内販売の回復にもつながるためだ。「外出自粛の影響で消費マインドが落ち込んでいるものの、新型車は売れている。新車次第でいかようにも振れるのではないか。2020年後半の新型『レヴォーグ』はしっかり導入し、今期の国内販売につなげたい」(中村氏)。
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