アスリートの眼を守る3Dプリンタ製アイガード、Carbonが実現に貢献:3Dプリンタニュース
アスリート向けアイウェアブランド「SWANS」などを展開する山本光学は、「世界初」(同社)をうたう3Dプリンタ製アイガード「GUARDIAN-Fit」を、2020年6月1日から販売開始する。
アスリート向けアイウェアブランド「SWANS(スワンズ)」などを展開する山本光学は2020年5月12日、「世界初」(同社)をうたう3Dプリンタ製アイガード「GUARDIAN-Fit(ガーディアン・フィット)」を、同年6月1日から販売開始すると発表した。併せて、バレーボール Vリーグの女子チーム「デンソーエアリービーズ」所属の鍋谷友理枝選手とSWANSアドバイザリースタッフ契約を締結した。
GUARDIAN-Fitの開発のきっかけは、代表合宿中に顔面にスパイクを受けて右眼を負傷した鍋谷選手が、プレー中の眼を保護するSWANSブランドの「アイガード」を購入するため、同社の直営店を訪れたことに始まる。実際にアイガードを使用した鍋谷選手からのフィードバックを受け、同社はトップアスリートのさまざまな要求を満たすためにはより進化した製品が必要と判断。鍋谷選手からのアドバイスを参考に、「視界の広さ」「通気性に優れた独自形状」「安全性とフィット感」などを重視し、鍋谷選手の顔の3Dデータ計測を行うなど、新たなアイガードの開発をスタートさせた。
しかし、挙げられた要求の中には従来の金型による製造方法では実現が困難なものもあり、製品開発と並行して、最適な実現方法を模索する中、Carbonの3Dプリンタであれば要求する機能や性能を実現できると判断。こうして開発されたGUARDIAN-Fitは、2mの至近距離から時速160kmの野球の硬球が衝突してもレンズが外れず破損しない高い安全性、3Dプリンタだからこそ実現できた優れたフィット感と通気性を併せ持つフレーム、裸眼と同等の広い視界など、トップアスリートからの要求に応えられる製品に仕上がったという。
GUARDIAN-Fitは、SWANS直営店および公式ECサイトから購入可能。販売価格(税別)は3万2000円で、初回数量限定での販売となる。カラーはブラックのみで、S/M/Lの3サイズで展開する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スポーツ用品からアイウェアまで幅広く採用が進むCarbonの3Dプリント技術
「日本ものづくりワールド 2020」内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展したディーメックのブースでは、Carbonの3Dプリント技術により生み出されたプロダクトの数々を見ることができた。 - Carbonが国内初出品の「Smart Part Washer」や3Dプリント技術を活用したサングラスを展示
米国の3DプリンタベンチャーであるCarbon(カーボン)は「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)に出展し、造形物の自動洗浄を行う「Smart Part Washer」の実機を国内初出品した。 - アディダスが選んだ量産型3Dプリンタ、日本で本格展開を開始
米国の3DプリンタベンチャーのCarbonは「3D Printing 2018」に出展。引き上げ式の光硬化樹脂型の新方式3Dプリンティング技術「CLIP」を採用した「M2 Printer」の実機を披露し、日本で本格展開する姿勢を示した。【訂正あり】 - 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。 - いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。 - 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。