材料エンジニアリングを強化、有限要素ソフト開発会社を買収:材料技術
Siemensは、有限要素ソフトウェア「MultiMech」を手掛けるMultiMechanicsの買収を発表した。「TRUE Multiscale」シミュレーションテクノロジーを3Dシミュレーションプラットフォーム「Simcenter 3D」に統合し、先端素材の採用を加速化させる。
Siemens(シーメンス)は2020年3月2日、有限要素ソフトウェア「MultiMech」の開発を手掛けるMultiMechanicsの買収を発表した。Siemens Digital Industries Software(シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア)の傘下に入れ、MultiMechanics独自の「TRUE Multiscaleシミュレーションテクノロジー」を同社の3Dシミュレーションプラットフォーム「Simcenter 3D」に統合し、先端素材の採用を加速化させる。
MultiMechanicsは、ミクロ構造レベルで先端素材の不良や特性、挙動を迅速かつ高精度にバーチャル予測する技術を持つ。この技術をSiemensの「Xcelerator」ポートフォリオ内のSimcenterソフトウェアに組み込むことで、材料エンジニアリングをデジタルワークフローに取り込む。これにより、材料エンジニアリングと部品設計、性能エンジニアリング、製造を統合し、素材のデジタルツインを作成可能な機能を追加していく。
また、構造CAEとTRUE Multiscaleによる詳細な材料モデリングが統合されることで、高分子、金属、複合材料、セラミックスなどのさまざまな素材において、包括的なデジタルツインの作成機能が拡張する。
素材のデジタルツインは、製造のばらつきや欠陥の説明、ミクロ構造レベルでの材料欠陥の根本原因の特定、最高性能を保証する材料のミクロ構造の最適化、先端素材の作成、バーチャルテストの実施などを可能にする。そのため、射出成形やアディティブマニュファクチャリング(AM)などの製造技術にも適用できるとしている。
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