ランボルギーニ、国際宇宙ステーションでカーボンファイバー素材の研究を実施:材料技術
Automobili Lamborghiniは、国際宇宙ステーションで、5種類のカーボンファイバー複合素材の研究を実施する。ランボルギーニ車と医療分野での将来的な応用を視野に入れ、5種類の複合素材が宇宙空間においてどう反応するかを分析する。
Automobili Lamborghini(ランボルギーニ)は2019年10月25日、国際宇宙ステーションで、カーボンファイバー複合素材の研究を実施すると発表した。自動車メーカーとしては初の取り組みになるという。ノースロップ・グラマンのアンタレスロケットにサンプルを乗せ、同年11月2日までに米バージニア州のワロップス射場から国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げる。
打ち上げの主催はISS米国国立研究所で、ヒューストンメソジスト研究所が監督するテストキャンペーンの一環として実施。ランボルギーニ車と医療分野での将来的な応用を視野に入れ、5種類のサンタアガタ・ボロネーゼ製の複合素材が、宇宙空間においてどう反応するかを分析する。
この5種類のサンプルは、ランボルギーニが同分野で積み上げてきたノウハウに加え、サンタアガタ・ボロネーゼ本社のCentro Sviluppo Compositi(複合素材開発センター)とACLSD(先進複合素材軽量構造開発)研究所による革新的なテクノロジーを駆使している。
中でも注目されるのは、3Dプリンタによる連続繊維複合材だ。これは、柔軟性の高い積層造形を、良質のアルミニウムと同等の高度な機械的性能を持つ構造部材で可能にしたものとなる。他に実験対象の素材には、ランボルギーニの全モデルで使用する不連続繊維複合材や、エポキシ樹脂のプリプレグとオートクレーブによるポリマーファブリックなども含まれる。
これらの素材は、ISSで6カ月にわたって、−40〜+200℃の極端な熱サイクルを経る。また、大気圏で最も高く、希薄な層に相当する紫外線放射、ガンマ線、太陽放射によって電離された原子状酸素の流れにも大量にさらされるという。
地球に戻ったサンプルは、同社と2年前からカーボンファイバー複合素材の研究開発を進めてきたヒューストンメソジスト研究所が共同で試験し、化学的・物理的特性面での質的劣化を定量化する。
今回のミッションは、同社と欧州研究会議(ERC)が共同研究協定へ署名してから2年後の実施となる。同協定により、人工インプラントや皮下デバイスで同社の複合素材を使用するか判断するための生体適合性の研究が開始された。
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