三菱重工工作機械、モニタリングシステムを全ての工作機械に標準搭載:FAニュース
三菱重工工作機械は、刷新したモニタリングシステム「DIASCOPE」を、4月以降に販売する全ての工作機械に標準搭載する。データの収集、解析をエッジとクラウドサーバで分散して処理することにより、迅速で高効率のモニタリングが可能になる。
三菱重工工作機械は2020年2月10日、モニタリングシステム「DIASCOPE(ディアスコープ)」を、同年4月以降に販売する全ての工作機械に標準搭載すると発表した。
これまでにも、同社はDIASCOPEの名称でモニタリングシステムを提供してきたが、システム内容を全面的に刷新して、全ての大形工作機械、歯車工作機械、超精密加工機に標準搭載する。
刷新したのはデータの取り扱いで、各種データの収集や解析はインターネット通信を介して遠隔地にあるクラウドサーバで処理し、工作機械のセンサーや測定器などからのデータ収集は、近くのエッジサーバで分散処理する仕組みにした。そのため、迅速で効率の良いモニタリングができる。
DIASCOPEの搭載により、ユーザーには各種モニタリングサービスが提供される。
リモートモニタリングは、工作機械にトラブルが発生した場合、自動で同社サポートセンターにアラート通知する。迅速な復旧作業が可能になるため、機械のダウンタイムを削減する。
稼働モニタリングは、アラームや加工完了など機械停止情報を含めた機械の稼働情報をPCやスマートフォンから24時間リアルタイムで確認できる。稼働実績の分析結果も表示するため、稼働率改善に役立てられる。
DIASCOPE搭載と併せて、顧客との「メンテナンスサポート契約」も刷新。定期的なメンテナンス工事により、設備の安定稼働を保証し、顧客のライフサイクルコストを改善する。また、従来の1年契約以外にも、ロングプランやクイックプランなどを用意し、機械が安定して稼働するようサポートしていく。同社では今後、こういった機械のハード面での保守に加えて、人材育成などソフト面の顧客支援も予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “量産”に使える金属3Dプリンタ、カギとなる技術を三菱重工工作機械が開発
三菱重工工作機械は海外市場に向けて金属3Dプリンタの展開を開始することを発表した。2019年5月20〜23日に米国デトロイトで開催される先端立体造形技術の見本市「RAPID+TCT2019」で、金属3Dプリンタ「LAMDA」を披露し、世界初となる関連技術「モニタリングフィードバック機能」や「ローカルシールド機能」などを紹介する。 - 第4次産業革命を支える「簡単でシンプルなIoT」の意義
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第15回となる今回は最近注目される「簡単でシンプルなIoT」についてまとめます。 - 工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。 - 工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。 - アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
知財専門家がアップルとサムスン電子のスマートフォンに関する知財訴訟の内容を振り返り「争う根幹に何があったのか」を探る本連載。最終回となる今回は、最終的な訴訟取り下げの遠因となった「新興国への技術移転」の問題と「なぜ米国で訴訟取り下げを行わなかったのか」という点について解説します。 - 好況に沸く工作機械メーカーは盤石か!? 課題は営業力にあり
企業再生請負人が製造業の各産業について、業界構造的な問題点と今後の指針を解説する本連載。今回はリーマンショック前の勢いを取り戻しつつある日系工作機械メーカーの動向と課題について取り上げる。