CADデータから3Dパーツカタログを自動制作するアプリ、独ソフト企業が開発:日本ものづくりワールド 2020
デジタル総合印刷は3Dパーツカタログの制作ソフトウェア「CATALOGcreator」を販売中だ。カタログの3D化は部品の誤発注リスクを低減するという。
デジタル総合印刷は「日本ものづくりワールド 2020」(2020年2月26〜28日、幕張メッセ)内の「第28回 3D&バーチャル リアリティ展」で、CADデータから3Dパーツカタログを制作するアプリケーションソフトウェア「CATALOGcreator」を展示した。
CATALOGcreatorはドイツのTID Informatikが2004年に開発した製品だ。デジタル総合印刷はTID Informatikと代理店契約を結び、CATALOGcreatorの導入コンサルティングや製品カスタマイズなどのソリューションサービスを提供している。
デジタル総合印刷の説明員は、パーツカタログの3D化を行うメリットとして「紙のカタログでパーツを探す場合と比べて、形状をより直感的に判別しやすくなる。このため、似たような形の部品と混同して誤発注するリスクを減らす効果が期待できる」と説明する。
さらにパーツカタログの3D化のニーズに関して、「国内では紙のパーツカタログが多く用いられているが、海外では既に3Dデータのパーツカタログが主流になっている。実際に海外メーカーと取引がある企業からは『2D図面だと分かりにくいので、3Dに変えてほしいと要望を受けた』という声も聞く」と同説明員は述べる。
CATALOGcreatorはユーザーが用意したCADデータから、2D/3Dの分解図、パーツリストといったデータを自動的に生成する。3Dデータのフォーマットにはデータ容量の軽量化を実現するXVL形式を採用しているため、Webブラウザ上でも軽快に動作する3Dパーツカタログが制作できる。またパーツの番号や属性情報から該当のパーツを簡単に検索できる機能も搭載しており、「メンテナンス部品の特定を容易に行えるように工夫している」(同説明員)という。
制作したカタログはWebブラウザ上での配信の他、PDF形式での保存、CD-ROMなどの記録メディアへの書き出しにも対応する。この他、CATALOGcreatorと基幹システムとを連携させることで、部品の在庫状況をリアルタイムに可視化できる。
また、展示ブースではHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して、VR(仮想現実)空間で3Dの分解図を閲覧するというデモ展示も行われていた。ディスプレイ上で確認するよりも、パーツ同士の位置関係を空間的に把握しやすくなる。また3Dモデルは部品が展開された状態から非展開状態へと自由に切り替えられるので、部品がどのように組み立てられるかを理解するといったトレーニング用途でも活用できるという。
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