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2020年は空前の火星探査イヤーに、はやぶさ2が帰還しH3ロケットの開発も着々MONOist 2020年展望(4/4 ページ)

2020年の宇宙開発で最も注目を集めそうなのが「火星探査」だ。この他「月・小惑星探査」「新型ロケット」「多様化する人工衛星」をテーマに、注目すべき話題をピックアップして紹介する。

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人工衛星の宇宙利用で存在感、日本のユニークな取り組み

 人工衛星による宇宙利用といえば、通信、放送、測位、地球観測、安全保障などが主流を占めるのだが、近年はユニークな使い方が増えつつある。こういった独特な取り組みで存在感を発揮しているのが日本だ。

 2020年、まず注目したいのは、宇宙ベンチャーALEが計画している人工流れ星サービスだ。既に、2機の超小型衛星を打ち上げ済みで、場所は未定ながら、春以降に初回の人工流れ星の投入を実施する見込み。人工流れ星の明るさはマイナス1等星程度になると予測されており、どのように見えるのか、楽しみなところだ

ALE-2
ALEの人工流れ星衛星2号機「ALE-2」。5色の"流星源"を放出できる(クリックで拡大) 出典:ALE

※)ALEのWebサイト

 そして2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されるということで、宇宙から応援メッセージを送るというガンプラ衛星「G-SATELLITE」が打ち上げられる予定だ。3Uサイズ(1Uは10cm角)の超小型衛星の中に、2体のガンプラ(ガンダムとシャアザク)を格納。軌道上で展開し、地球を背景にカメラで撮影するという。

G-SATELLITEのエンジニアリングモデル
「G-SATELLITE」のエンジニアリングモデル。ガンプラは1/200スケールになる(クリックで拡大)

 ガンプラが宇宙に行くのはこれが初めて。通常のプラスチックは使えないため、高熱や放射線に耐えられる宇宙グレードのガンプラを開発した。さすがにバーニアを噴射して宇宙空間を自由に飛び回るというわけにはいかないものの、ガンダムファンとしては、まずは宇宙への到達を喜びたいところだ。

※)G-SATELLITEのWebサイト

 持続可能な宇宙活動への脅威として、懸念されているのが宇宙ごみ(デブリ)の増加である。この対策として、デブリ除去を目指すベンチャーAstroscaleが今夏、打ち上げを予定しているのは、重量200kgの実証衛星「ELSA-d」。デブリを模擬する子機を宇宙空間で分離し、マーカーと画像認識による捕獲技術を実証する計画だ。

ELSA-d
Astroscaleの「ELSA-d」。模擬デブリ(子機)を分離してから捕獲を試みる(クリックで拡大) 出典:Astroscale
「ELSA-d」のミッションの流れについては、こちらの動画が分かりやすい(クリックで再生)

 宇宙開発というと、国や大企業がやるものという印象が強いだろうが、なんと「趣味」でやっている民間団体がリーマンサットスペーシズ。既にキューブサット「RSP-00」を打ち上げた実績があり、現在は新型の「RSP-01」を開発中だ。年内の打ち上げを予定しており、軌道上での「自撮り」に挑戦するという。

RSP-01
「RSP-01」は、伸展アームを使い、衛星の自撮りを行う(クリックで拡大) 出典:リーマンサットスペーシズ

※)RSP-01のWebサイト

⇒「MONOist 新年展望」記事はこちら

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