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電動車の駆動用バッテリーの残存性能を3分間で分析、リユースのコスト低減へ電気自動車(2/2 ページ)

アメテックは2020年2月10日、東京都内で記者説明会を開き、車載用リチウムイオン電池の残存性能(State of Health、SoH)を分析するバッテリーアナライザー「SI-9300R」を発表した。

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英国の産学連携から生まれた分析技術


AMETEKのJohn Harper氏(クリックして拡大)

 使用済みリチウムイオン電池のランク付け手法や残存性能の分析アルゴリズムの開発は、英国の産学連携プロジェクトで取り組んだ。英国ビジネスエネルギー産業戦略省の出資の下で「UK Energy Storage Laboratory」というプロジェクトが発足し、日産自動車の英国法人、英国のウォーリック大学の研究グループであるWarwick Manufacuturing Group、アメテック、コンサルタント会社のElement Energyが参加した。

 残存性能の分析は「電気化学インピーダンス分光法(EIS)」を基にしている。EISの測定データが温度と充電率に関連することを生かし、残存性能を正確に分析できるようにした。また、EISに関する経験や知識がなくても実行できるアルゴリズムを開発し、残存性能の分析設備をさまざまな拠点に広く展開できるという。

 アルゴリズムはまず日産自動車の「リーフ」向けに開発したが、他社の電動車や、角形や円筒形などさまざまなリチウムイオン電池に対応させる。現在、車両に搭載するバッテリーモニタリングシステム向けに、残存性能の計測アルゴリズムを応用できるかどうか、検討を始めたという。

 バッテリーアナライザーには、インピーダンス測定時間を大幅に短縮するため、測定チャネルごとに完全に独立した周波数応答アナライザーを装備した。また、インピーダンス測定データのリアルタイム解析機能を使用することで、電池セルそれぞれのインピーダンス測定条件を最適化し、全体のテスト時間短縮も測れるとしている。バッテリーアナライザーモジュールは5つの独立した測定チャネルを備え、1台のラックに8個のモジュールを搭載することで最大40チャネルの測定が可能だ。

 さらに、バッテリーアナライザーにはエネルギー回生技術を採用し、機器の冷却に必要な電力消費と設置スペースを、従来の非回生型と比べて大幅に削減した。従来の装置と比べて、単位面積当たりのテストチャネル密度が最大4倍に向上し、電力消費を90%削減する。これにより、従来は限られた拠点にしか置けなかったバッテリーアナライザーの設置コストが下がり、自動車メーカーが駆動用バッテリーのリユース拠点を増やすのに貢献できるとしている。


エネルギー回生技術を採用し、設備の設置コストを下げる(クリックして拡大) 出典:アメテック

日産は日本でも開発成果を導入する?

 アメテックと日産自動車の協業は、英国の現地法人同士での取り組みとなる。日産自動車は、住友商事との共同出資会社であるフォーアールエナジーを日本で設立。使用済みバッテリーの再利用と再製品化に特化した工場を福島県に設けているが、日本で英国発の成果を導入するかどうかは現時点では未定だという。

 フォーアールエナジーは日本全国から回収した使用済みバッテリーの再利用や再製品化に取り組む。再生したリチウムイオン電池は残存性能に応じて、EVの交換用電池として販売する他、大型蓄電システムや電動フォークリフト、電源や電線が不要な太陽光発電の外灯などで活用している。

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