パナソニックのテスラ向け車載電池事業が黒字化、LG化学やCATLの採用は静観:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックが2019年度(2020年3月期)第3四半期(10〜12月期)の決算を発表。前年度同期と比べて減収となったものの、調整後営業利益は前年度並み、営業利益と純利益は増益となった。また、これまで利益を押し下げていたテスラ(Tesla)向けの車載電池事業が四半期ベースで黒字化したことを明らかにした。
ギガファクトリーの生産量は年間換算で32GWhまで伸ばす
これまでオートモーティブ社の利益を押し下げる要因になっていた、テスラ向けに供給している円筒型車載電池事業は増収増益となり、四半期ベースでの黒字化を達成した。ただし、テスラ以外向けとなる角型車載電池事業は、北米向けのハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの販売不振で減収、姫路工場(兵庫県姫路市)での高容量セル生産開始に伴う固定費増などにより減益となり、車載電池事業全体は増収減益となった。
テスラとの米国合弁工場であるギガファクトリーでの生産量は、2019年12月末時点で年間換算30GWhとなっている。これを2020年3月末までには同32GWhまで伸ばしたい考えだ。梅田氏は「ギガファクトリーの生産は伸びているが、まだ生産ロスもあり改善の余地がある。もっと生産を伸ばせれば材料コストは下がるので、黒字の定着を図れるだろう」と説明する。
なおテスラは、韓国のLG化学や中国のCATLと車載電池で協業する方針を打ち出している。このことによる事業への影響については「今後当社以外の車載電池をどのように使っていくかはテスラが決めることであり当社からは何も言えない。ただし、現時点において中国市場向けを含めてテスラ車の車載電池は当社が100%供給しており、同社からの要求には十分応えられているという認識だ。なお、中国で当社が円筒型車載電池を生産するという計画は現時点ではない」(梅田氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パナソニックの中期戦略目標は「低収益体質からの脱却」、聖域なく見直しを断行
パナソニック 社長の津賀一宏氏が、2019〜2021年度の中期戦略の考え方と、この半年間での取り組みの進捗について説明。津賀氏は「今中期戦略は低収益体質からの脱却が目標。これを実現した上で、より長期の目標として、2030年に向けて『くらし』で役に立つ、くらしアップデートの会社を目指す」と強調した。 - シェア1位追求と顧客ニーズ追従の2面作戦を徹底、パナソニックの産業用部品事業
パナソニックは2019年11月22日、各事業の状況を紹介する「Panasonic IR Day 2019」を開催。本稿ではその中から、パナソニック インダストリアルソリューションズ社(IS社)の社長である坂本真治氏の説明内容を紹介する。 - ADASやHMIに集中、“再挑戦事業”から脱却目指すパナソニック車載事業
パナソニックは2019年11月22日、各事業の状況を紹介する「Panasonic IR Day 2019」を開催。本稿ではその中から、パナソニック オートモーティブ社(AM社)の社長である楠見雄規氏の説明内容を紹介する。 - パナソニックの現場プロセス事業、日立や東芝は「競合ではなくパートナー」
パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社 社長の樋口泰行氏が足元の事業状況や中期的な取り組みについて説明。CNS社が主導する「現場プロセス」事業は、日立や東芝、NEC、富士通などが競合になるイメージがあるが「競合ではなくパートナーになる」という。 - パナソニックが半導体事業を台湾Nuvotonに譲渡、60年の歴史に幕
パナソニックは2019年11月28日、パナソニック セミコンダクターソリューションズ(PEMJ)を中心に運営する半導体事業を、2020年6月に台湾のWinbond Electronics傘下のNuvoton Technologyに譲渡することを決めた。 - パナソニックが液晶パネル生産を終了、中小型に注力するも市場環境の激化で
パナソニックは2019年11月21日、2021年をめどに液晶パネルの生産を終了すると発表した。市場環境の激化により事業継続は困難であると判断した。