QINeSの採用が広がるSCSK、AUTOSAR APはアプリケーション開発に注力:オートモーティブワールド2020
SCSKは、「オートモーティブワールド2020」において、自動運転システムなど向けのAUTOSARであるAUTOSAR Adaptive Platform(AP)の活用事例についてデモンストレーションを披露した。
SCSKは、「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、自動運転システムなど向けのAUTOSARであるAUTOSAR Adaptive Platform(AP)の活用事例についてデモンストレーションを披露した。
同社は「QINeS」ブランドで、制御システム向けとなるAUTOSAR Classic Platform(CP)の基盤ソフトウェア(BSW)を事業展開している。既に、サンデンのカーエアコン用電動コンプレッサーやミツバのパワーバックドア、アドヴィックスの次世代ブレーキシステムなどに採用されている、
量産車で広く利用されているAUTOSAR CPだが、今後自動運転システムの導入が進みコネクテッドカーとしての機能が拡充されていくとAUTOSAR APの採用も広がっていくことになる。SCSKは、AUTOSAR APの基盤ソフトウェアは手掛けないものの、より上層のアプリケーション開発で顧客を支援していく方針だ。
展示デモは、QINeSを用いて制御するセンサーECU、AUTOSAR APを用いたゾーンゲートウェイやカメラ、メーターなどのHMI、ADAS(先進運転支援システム)などのECU、そしてクラウドとの接続を担うAPIゲートウェイから構成されている。センサーECUとゾーンゲートウェイはCANで、AUTOSAR APを用いたECU間は車載イーサネットで接続。ゾーンゲートウェイは、シグナルベース通信のCANを用いるAUTOSAR CPのECUと、車載イーサネット上でサービス指向アーキテクチャをベースに通信するAUTOSAR APのECUのやりとりを仲介する機能とセキュリティ機能が実装されている。また、APIゲートウェイは、Webサービスで広く用いられるRESTベースのAPIを用いたデータ交換を担っている。
展示では、これらのECUで構成される自車両のHMI画面と車両走行画面の他、クラウドを経由して接続している車両監視センターの画面を大型ディスプレイで表示。カメラECUを使って、あおり運転してくる他車両を撮影し、クラウド経由で車両監視センターにアップロードしたり、車両監視センターの地図画面に自車位置や緊急車両の位置を表示したりなどした。「当社は、AUTOSAR CPを手掛けるとともに、AUTOSARのプレミアムパートナーとしてAUTOSAR APに関する情報収集も行っている。制御系システムのことを理解した上で、適切なAUTOSAR APのアプリケーション開発に貢献できると考えている」(SCSKの説明員)という。
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